新潮文庫
瑠璃色の石

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  • サイズ 文庫判/ページ数 266p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101341095
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

戦火に十代を奪われた育子に、遅まきながらの青春が訪れた。学習院女子短期大学への入学。同人誌と少女雑誌に小説を発表する傍らで、やがて彼女は大学文芸部で出会った圭介のプロポーズを受ける―。新進気鋭の三島由紀夫や文壇のリーダー的存在だった丹羽文雄、同人誌仲間の瀬戸内晴美らに触発されながら、夫である吉村昭と共に作家としての自立を目指した日々を描く自伝的小説。

著者等紹介

津村節子[ツムラセツコ]
1928(昭和3)年、福井市生れ。学習院短期大学国文科卒。在学中より小説を発表し、’64年「さい果て」で新潮社同人雑誌賞、’65年「玩具」で芥川賞、’90(平成2)年『流星雨』で女流文学賞、’98年『智恵子飛ぶ』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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佐藤一臣

13
夫は、生活のためにサラリーマンとなり、書くためだけの生活を諦めた。ところが、妻が商業誌に小説を掲載して原稿料をもらうようになると、会社員を辞めて、書くためだけの生活を始める。一方の妻は、商業誌の掲載料が生活を支える唯一となったために、書かなければいけないという義務に頭を悩ますようになる。そこらへんの変遷が妻の視点で書かれている。夫妻ともに、書くことが好きだから、こんな生活を続けていけるのだなあ。ただ、それをしたいという思いを貫き通すことが、どれだけ大切なことなのかがわかる。自分もそんなことを見つけたい。2019/10/02

Lila Eule

8
吉村昭は、青春もいかんなき事がつくづくわかった。真理を突き詰める姿勢は、苦境と向き合い、掴み取ろうと前に突き進み続けた青春があっての偉業のようだ。それにしても挫折を乗り越え、自分を鍛え続けた壮絶さの凄いことか。三島由紀夫に意見し、三島もそれにうけこたえる清廉さ、安倍学習院院長との直談判の豪気と院長のかえす包容力、競い合う若い作家達と鍛え励ます文壇指導者達、夫の希望を支える妻の生活力、限界に達した時の潔さなどなど、なんとも気持ちがよい。星への旅はとことん突き詰めたものであったことがよくわかった。2017/05/05

横丁の隠居

4
戦後すぐの風俗が描かれているのが興味深い。2019/10/14

石川さん

2
第一章は5年遅れで学習院短大に入学し吉村昭にプロポーズされるまで。姉の見合いと結婚、同人雑誌の資金調達のための落語会、若き三島由紀夫との交流。爽やかで、朝の連続テレビ小説を観てるみたい。第二章は結婚後の夫婦二人の執筆活動がメイン。凄まじい創作意欲(ふたりとも子育てや仕事の合間をぬっての執筆)と評価されない焦燥。家に来た瀬戸内晴美と1分でも長く文学談義がしたくてハンバーグを作って長居してもらおうとするところは胸を打ちます。戦後の文芸同人誌や少女小説などの雰囲気知ることができ、なかなか興味深かったです。2012/03/16

桐葉

1
夫婦で小説家というのは地獄だと言われたと書かれていたが,本当に大変なことだと思う。𠮷村隆氏の性格も余すところなく書かれ若いころの夫妻のことが興味深かった。2022/01/04

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