新潮文庫
獄窓記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 533p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101338712
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

政治家の犯罪。それは私が最も嫌悪するものだった―。三十代の若さで衆議院議員に当選した私は、秘書給与詐取事件で突然足元を掬われる。逮捕、そしてまさかの実刑判決。服役した私の仕事は、障害を持った同囚たちの介助役だった。汚物まみれの凄惨な現場でひたすら働く獄中の日々の中、見えてきた刑務所の実情、福祉行政への課題とは。壮絶なる真実の手記。新潮ドキュメント賞受賞。

目次

第1章 秘書給与詐取事件(政治を志した生い立ち;菅直人代議士の秘書、そして国政の場へ;事件の発端;東京地検特捜部からの呼び出し;政策秘書の名義借り事件;逮捕;規素;裁判;弁護士との打ち合わせ;妻への告白)
第2章 新米受刑者として(分類面接;手紙;妻の面会;移送日決定;黒羽刑務所へ;初出役の日;短気は損気;受刑生活における目標;欺くして配役工場へ)
第3章 塀の中の掃き溜め(寮内工場の仕事;障害を抱えた同囚たち;出所への第一歩;堀の中の日常風景;看守たちの生態;形影相都弔う年越し;恩人の死)
第4章 出所までの日々(烏兎匆々;ふたたびクローズアップされた秘書給与問題;明治時代からの変らぬ監獄法;本面接;恨事;出所へのカウントダウウン)

著者等紹介

山本譲司[ヤマモトジョウジ]
1962(昭和37)年北海道生れ、佐賀県育ち。早稲田大学教育学部卒。菅直人代議士の公設秘書、都議会議員2期を経て、’96(平成8)年に衆議院議員に当選。2期目の当選を果たした2000年の9月、政策秘書給与の流用事件を起こし、’01年2月に実刑判決を受ける。433日に及んだ獄中での生活を『獄窓記』として著す。同書は’04年、第3回「新潮ドキュメント賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

106
H15年に出版された本。衆院議員だった彼が秘書給与詐取事件で突然、逮捕。当初は執行猶予付きの判決と思いきや実刑判決を受け刑務所に。そこでは障害を持った同じ囚人の介助役となる。介助といっても汚物まみれになりながら悲惨な現場。出会った同囚、刑務官、刑務酒の規則、時には矛盾だらけの規則にいらだちも。日本国憲法と監獄法の矛盾についても書かれている。やがて仮釈放。気になったのは、こういった出来事を書き留めていたのか。メモや手紙にも書けないはず。このあたりうがった見方をすればいくつかは話を盛ってある部分もあったのか。2022/05/02

hatayan

50
単行本は2003年刊。政策秘書の給与を事務所の経費に流用していた罪で1年余り服役した経験を記した一冊。 判決を受け入れ、意気込んで収監された著者を待っていたのは、体や心に病や障害を抱えた受刑者のサポート。ところ構わず垂れ流される大便の後始末、自分の罪を理解できず刑務所が居場所であると囚人に言わせる矛盾でした。 幼い子を抱えた妻、怪我をした自身を支えてくれた囚人への感謝の気持ちを絶やさず、出所後著者は福祉の道へ。再犯を重ねる累犯障害者の存在を明らかにし、福祉と司法が連携するきっかけを作ろうと奮闘しています。2019/05/27

しあん

25
作者も文庫版あとがきで言っているように、漢語がやたらと多く、読みにくさを感じてしまう部分もありました。作者は海外を旅している間に就職活動のタイミングを逃してしまい、前から関心があった政治家の秘書になったとあり、そういう他の世界で働いてなかったことも、作者の視点を狭めてしまったのかなぁと思いました。秘書の期間も短くて、2、3年で辞めて市議に当選しちゃいましたからね。それに、周りのスタッフにも恵まれなかったのかなぁとも思いました。身重の体で作者を支え、マスコミにも対応した奥さんも大変だったろうなと思いました。2019/01/20

たぬきごんべい

22
元国会議員の刑務所体験記。甘んじて受け入れると言いながら「言い訳」としてしか受け取れない逮捕に至った経緯。他の人のことは言わないと言いつつも辻元清美氏への非難。この2つを抜かすと読み応えのある素晴らしいルポとなってる。累犯障害者の獄中での扱いは下関駅放火事件の犯人を思い出す。外の世界より獄中のほうがよっぽど良いと思う日本は住みやすい世界とは言えない。通常犯罪者に対しての刑務所の処遇は人権問題と言うが、被害者の立場に立つともっと厳しく戒めて欲しいとなる。★4.02019/01/18

りょちみ

13
秘書給与詐取事件で逮捕・収監された元国会議員のルポルタージュです。刑務所内のことはドラマやドキュメンタリー番組で流されるイメージを漠然ともっていましたが、自身の体験として語られる本書に驚くことも多くありました。特に後半は障害者の施設内の更生について一石を投じるものがあり、今後の行政の対応に生かされるといいなと思います。既に17,8年経ちますが、現在の状況はどうなっているのでしょうか。そして秘書給与の実態は透明化されているのか。普段目にしないことや常識についてもっと懐疑的になろうと思いました。2019/01/06

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