内容説明
名作の美味しさはそのままに、ストーリーをギュッと濃縮した「要約文学」の最高傑作。「トルストイやゲーテなどは、自分の小説がこんなふうに簡潔に要約されて怒っているかもしれない」と著者は言いますが、いいじゃないですか。忙しい現代人にふさわしい、新しいスタイルの読書法。
目次
ナボコフ『ロリータ』(一九五五)
ヘミングウェイ『老人と海』(一九五二)
カポーティ『遠い声遠い部屋』(一九四八)
カミュ『ペスト』(一九四七)
マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』(一九四〇)
サン=テグジュペリ『人間の大地』(一九三九)
ヘンリー・ミラー『北回帰線』(一九三四)
フォークナー『八月の光』(一九三二)
ツヴァイク『ジョゼフ・フーシェ』(一九二九)
D・H・ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』(一九二八)〔ほか〕
著者等紹介
木原武一[キハラブイチ]
文筆家。1941(昭和16)年、東京生れ。東京大学文学部ドイツ文学科卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーかり
6
すっかり買った事を忘れていた熟成積読本を「発見」して読む。やはり「一作13ページの読み切り!」という要約では作品の良さが損なわれてしまう...と思いつつも、興味を持った作品もいくつかあったり。あらためて「本物」を読みたくなる。リルケやヘッセなど、昔読んだはずなのに忘れているのが悲しい。2013/10/09
訪問者
4
各作品を非常に簡潔に要約している。紹介された3Ⅰ作品の内、既読は『チボー家の人々』、『失われた時を求めて』、『アンナ・カレーニナ』等のⅠ0作品のみ。まだ『ロリータ』も『ペスト』も『魔の山』も読んでいない。何とかしたいものである。2024/02/05
smatsu
3
「要約」より「抄訳」とか「抜粋」と言うべき。あらすじが書かれているわけではなく、オリジナルの文体を拾いながら最低限ストーリーがわかるように短く編集した、というスタイルになっている。なので作品によってうまく行っているものとそうでないものの落差が大きい印象がある。ツヴァイクなどはもともと伝記だしつまみやすいけど、チボー家の人々とか北回帰線などの文学作品は概ねわけわからん感じになっている。雰囲気だけ感じ取ってくれというところか。チャタレイ夫人の恋人はオリジナル未読だが思ってたより良さげなので読んでみたくなった。2023/12/10
山一工房
3
「要約」とあるが「縮約」であって、あらすじ紹介でないところが良い。「魔の山」の縮約の仕方は、すばらしい。人間にとって病気とは何かがテーマだとして、ショーシャ夫人は切り捨てられている。そんな見方があったなんて。2015/04/25
Ted
1
'04年1月刊。○書名に「要約」とあるが「抜粋」の間違いなので改めるべき。要約の方が読者にとっては便利でありがたいが、全部読まなければ要約などできないと思うので、要約する編者の労も大変だろうし、要約の「でき不出来」も編者の力量に左右されるだろうから、抜粋が無難な落し処なのだろう。もっとも、抜粋の仕方がうまければ1冊全部読んだような錯覚に陥ることもある。名前は前から知っていて気にもなっている作品なのにきっかけがなかったり熱が冷めたりして結局読まずに一生終るよりは本書のような抜粋に目を通しておくのも悪くない。2017/10/11