新潮文庫
漱石の孫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 264p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101335124
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

百年前、祖父・夏目漱石がヨーロッパ文化と格闘していた下宿。その部屋を訪れた時、僕は予想しなかった感動に襲われた―。日本を代表する作家の直系として生を享けた著者は、如何にして、その運命を受け入れるようになったのか。ロンドンで祖父の足跡を辿りながら、愛するマンガへの眼差しを重の合わせつつ、漱石を、音楽家だった家・純一を、そして、自分自身を語ってゆく。

目次

第1章 漱石と出会う
第2章 夏目家の鬼門
第3章 漱石観光
第4章 漱石と僕
第5章 文学論とマンガ論
第6章 業の遺伝
第7章 百年後の猫

著者等紹介

夏目房之介[ナツメフサノスケ]
1950(昭和25)年生まれ。青山学院大学卒。マンガ・コラムニストとして、マンガ批評に新たな世界を切り開く。その功績により、’99(平成11)年、手塚治虫文化賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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おさむ

43
房之介さんの漫画やイラストは週刊誌等で目にしたことがありましたが、漱石のお孫さんとは知りませんでした。長男純一さんの息子で直系の男系子孫だけに、多くの反発や苦労もあったんですね。男性だけにプレッシャーを感じる度合いも女性の半藤末利子さんらよりも強かったんでしょう。理不尽に怒ってしまったり、胃潰瘍になったりといったエピソードは、夏目家のDNAを感じさせます。ただ、文章からは房之介さんの飾らない性格がじんわりと滲み出ていて、好感が持てました。2016/10/23

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

30
漱石に限らず、偉大な人が身内にいると子供も孫も大変なのだな……ということがよくわかる。常に偉大な祖父と比べられるプレッシャー。異性の子供だと、森茉莉や幸田文のように少し違うのかもしれないけれど。2017/07/01

猫丸

16
夏目漱石は父直克51才のときの子。長男純一は漱石40才のとき、房之介は純一43才の時に生まれた長男である。解説の関川夏央によれば「普通の家よりも一代少ない」。昔でいえば親が老年期の息子たちである。そのメンタリティ形成に与る要素としてはいちばん効くところではないか。文豪である祖父に反発を覚えつつも同じ精神構造に気づく。放蕩三昧で気楽に生きた父純一の内面にも想像が及ぶ。漱石の蟄居したロンドンの下宿にて孫の心中に湧き上がる得体の知れぬ感情の湧出に筋道をつけんとするエッセイ。2021/02/10

たくのみ

14
90年代に週刊朝日でイラストルポを書いていた夏目房之介さんは漱石の直系の孫。TVの番組でイギリス留学時代の下宿を訪問したときに感じる「なつかしさ」。そして「普遍的な理論で敵を包んで持ち帰ろう」とした漱石の、天才であるが上の挫折と失望。同時に、「産業都市の汚れ具合は耐え難かった」という見方も面白い。楽屋の裏ばなし、プチ自慢が多い感じがして、今となっては読みにくいけど、だからこそ漱石の孫なのかも。2015/11/12

あまね

12
先日の読んだ半藤末利子さんとはまた違うものを、房之介さんは背負ってらっしゃいました。これは、性差なのでしょうか?漱石との距離の取り方、父親である純一さんとの距離の取り方、煩悶しながら生きてきたことに漱石家の直系のご苦労が伺えます。それにしても、さすが漱石の孫!と言っては、ご本人が顔をしかめるでしょうが、とてもクレバーな文章です。個人的には、漱石と鏡子さんの書簡に心があたたかくなりました。心の底で想い合うご夫婦だったんですね。2016/11/01

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