内容説明
日本の古代史像を一変させた青森・三内丸山遺跡。この発見が一人の作家を衝き動かした。諏訪大社の御柱に「縄文巨木文化」の面影を見ることから始まった旅は、神々の原郷を歩き、史実と神話の間に想像を広げるうち、思いもよらぬ結論に導かれる―大胆な仮説と意表を突く想定を縦横に展開し、「天皇」の誕生、そしてこの国の成り立ちという史上最大の謎を解き明かす衝撃の試論。
目次
縄文巨木文化
諏訪の御柱
スサノオとは何者か
伊勢神宮の謎
津田左右吉の弁明
ふたつの「高千穂」
高天原は実在する
卑弥呼は日御子か
天照大神の発明
「日本教」の解明
天皇の来た道
著者等紹介
長部日出雄[オサベヒデオ]
1934(昭和9)年、青森県生れ。新聞社勤務を経て、TV番組の構成、ルポルタージュ、映画評論の執筆等に携わる。’73年『津軽世去れ節』『津軽じょんがら節』で直木賞、’80年『鬼が来た 棟方志功伝』で芸術選奨、’87年『見知らぬ戦場』で新田次郎文学賞を受賞。該博な知識と取材力を生かした評伝に定評がある。おもな著書に『まだ見ぬ故郷』『辻音楽師の唄 もう一つの太宰治伝』『反時代的教養主義のすすめ』『二十世紀を見抜いた男 マックス・ヴェーバー物語』などがある
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感想・レビュー
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KAZOO
115
長部さんの日本古代史に関する様々な評論集(評論までは行かないで随想かもしれません)のような感じがします。地元の三内丸山遺跡に触発されての論考なのでしょう。少し題名が、という感じがしますがわたしは嫌いではありません。最後のほうに書かれた文章が一番いいたかったことなのだという気がしました。2015/11/29
出世八五郎
16
題名で大昔に買ったけど題名が合わない本とも思える。数少ない資料を漁り巨木文化から古代日本の隙間を空想するエッセー。北は三内丸山遺跡から諏訪を経て南は日向高千穂(※正確には出雲)まで巨木文化が浸透していただろう空想に、古代知識のない私も酔い痴れる。古代史の知識や古文読解力のない読者には、中盤の読解はかなり苦しいと思う。本書で五ヶ瀬川に行きたいと思ったよ。2014/11/06
RED FOX
13
三読。霧島と臼杵、どちらが天孫降臨の高千穂か?の本家論争が面白かった。御柱と棟方志功の話も面白かった。2018/04/03
RED FOX
10
「なるほど天皇はなによりも国の平和を願い生活の無事と安全を祈る国民感情の象徴であったのか」開明的な縄文時代、巨木文化が面白い。天孫降臨が面白い、タイムマシンで見に行きたい。4読目。2024/11/25
RED FOX
9
再読。今の平野部が海だった縄文時代の日本を妄想?する作者と一緒に妄想するのが楽しい。諏訪の御柱、伊勢神宮、高千穂、橿原など、旅したくなります(^^)2016/08/21