内容説明
あの日、妻が消えた。何の手がかりも残さずに。樋口警部補は眠れぬ夜を過ごした。そして、信頼する荻窪署の氏家に助けを求めたのだった。あの日、恵子は見知らぬ男に誘拐され、部屋に監禁された。だが夫は優秀な刑事だ。きっと捜し出してくれるはずだ―。その誠実さで数々の事件を解決してきた刑事。彼を支えてきた妻。二つの視点から、真相を浮かび上がらせる、本格警察小説。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955(昭和30)年北海道生れ。上智大学在学中の’78年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006(平成18)年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を受賞。さまざまなタイプのエンターテインメントを手がけるが、警察小説の書き手としての評価も高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ehirano1
156
結構スピード感があったように思いました。スリルやサスペンスは相変わらず控えめですが、心理描写に基づく言動のプロセスを楽しむのも本書の醍醐味の一つかなと思いました。2022/01/26
ミカママ
138
タイトルの意味に深く感動。そのラインからすれば、現在の私の毎日は「白秋」なんだわ。犯人は早期にわかってしまうので、犯人探しのミステリーではない。警察ミステリーと言うよりは、これは今野さんのメッセージ集なのでは。若者への、そして現在子育てをしている大人たちへの。どれも一つ一つ重かったが、しかと受け止めました。子育て中のお母さん方、お子さんに父親の偉大さを教えましょう。子どもが父を尊敬しなくなったらオシマイです。日本人同士の夫婦のありかたも興味深かった。15年前の作品だけれど古さをちっとも感じませんでした。 2015/03/01
修一郎
113
樋口顕シリーズの第二弾。1996年からもう25年も続いているシリーズだ。人の名前のようなタイトルは[青春の次の朱夏時代だよなオレたち]‥ということらしい。バディの氏家さんとのプライベートな捜査の8時間。捜査の合間に氏家さんと交わす会話はイマドキの若者と家庭での育てられ方はどうよ,という世のお父さんの嘆き節です。天童さん恵子さん照美さんとの関係は安定しているし昇進も着実,ちょいと哀愁も漂いながらの堅実な警察捜査を描くシリーズであります。事件の感想がないけどもまぁいいや。次,一つ飛ばして「廉恥」へ。2020/05/09
ゴンゾウ@新潮部
101
前作品とは大分印象が異なる。警察組織というより樋口刑事の人間性に焦点を当てた作品。妻が誘拐され家族のことを見直す。妻のこと、娘のことを何も知らなかったことを思いしる。細い糸を手繰り寄せながら少しづつ犯人へ近づく。地味な捜査の積み重ねと刑事としての直感。たまにはこのような作品も良いのでは。2017/01/06
Hitoshi Mita
101
前作は主人公樋口の人となりを思いっきり全面に出してた感が強く、全共闘世代への反感が色がかなり強くてそこがちょっとって言う人もたくさんいそうだった。まぁ前作はそれ以降の樋口の活躍を暗示させるための前菜だと思えばなるほどと思ってしまう。こちらは前作の世代論もそうだが家族とは夫婦とはと言う問題に主眼を置いている。読んでいて、この家族感は日本独特な物のような気がした。世界どこに行ってもそういうところはあるのかもしれないが。事件に巻き込まれた樋口は家族とは何かと考えさせられながら事件に立ち向かっていく。面白かった。2014/10/31