新潮文庫<br> 悲しみの島サハリン―戦後責任の背景

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新潮文庫
悲しみの島サハリン―戦後責任の背景

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  • サイズ 文庫判/ページ数 380p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101308067
  • NDC分類 369.37
  • Cコード C0195

内容説明

戦後の樺太=サハリン。日本人だけを乗せて出港する引揚船を見送りながら、朝鮮半島出身者たちは一日も早い帰郷を夢見た。なぜ、半世紀を経た今日まで、彼らはサハリン島に閉じ込められたままなのか。「もう命の時間はない、せめて故国の地に眠りたい」という悲痛な叫びを聞きながら、冷静に事実を追い、国と国との軋轢と、無関心の狭間に取り残された人々の五十年の軌跡をたどる。

目次

ハバロフスクにて
真岡の海
サハリン州都
悲劇の背景
帰還運動の発端
樺太裁判
四十年目の死亡通知
社会主義国の壁
ボランティアと政治
内淵にて〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

A.T

26
日本の戦争を顧みる夏の読書も、これで7冊目。今回は、強制連行の朝鮮労務者をサハリンに置き去りにしてきた問題。1993年前後をもって一応の解決を得たのだが、戦後48年のあまりにも遅い幸福とばかりも言えない故郷への帰還。縦軸にサハリンでのソ連、ロシアの歴史の転換の中生き残ってきた残留朝鮮人の一人一人のドキュメント。横軸には、たった一人から始めてついに日本と韓国双方からの帰還運動へ盛り上がり、帰還を実現させた人々の努力のドキュメント。2021/08/13

雲をみるひと

22
ソ連崩壊前後に書かれた対戦後にサハリン残留を余儀なくされた朝鮮半島出身者の帰国支援に関するルポ。あまりにもセンシティブなテーマということもあり、取材中に関係者とハレーションを起こしていく様子が生々しい。樺太・サハリン問題は当事者数が満州などに比すると少ないため埋れがちだが、日本、韓国、朝鮮、ソ連の間で市民が翻弄された当地は大戦史や戦後史を考える上で極めて重要なテーマだと思われるので、本作含め関係書がより脚光を浴びて欲しい。実際、本作も俄かに信じられないことが度々起きていたことがよく書かれている。2023/12/06

jamko

19
角田房子さん3冊目。徴用されながら終戦後はソ連領となったサハリンに置き去りにされた朝鮮人労働者たち。ソ連のメンツや北朝鮮との関係もあり長らく出国を許されずサハリンに根を下ろさずをえなかった朝鮮人たちと、問題解決に尽力した日韓の人々の歴史。そもそも日本人だけを引き上げ朝鮮人は置き去りにした日本が悪いんだけど、時間が経てば経つほどこじれていったこの問題について、超党派議員懇談会を開き、様々なルートでソ連に働きかけ、国会でも取り上げ、とやってるこの当時の日本はちゃんと政治が機能してる。少なくとも今よりは。→2019/07/22

ミネチュ

1
前から気になっていた日本が朝鮮人をサハリンに放置した問題。先日、「樺太朝鮮人の悲劇」を読みましたが、その中で引用されていたのが本書。 何ていうか、日本て、被害には敏感なくせに加害には鈍感な国家/国民って気がしてなりません。 満州から苦労して日本に引き揚げてきた人、あるいは引き上げることができずに亡くなった人の話をかなり多くの日本人が知っているでしょうけど、サハリンに朝鮮人を放置したということを果たしてどのくらいの日本人が知ってるのでしょう?2013/04/18

うりきち

1
角田さんの朝鮮の旅は終わりはこんな所にたどり着くのか。様々な人々の思いは単純にはいかず、角田さんの目の前でさえすれ違っていく。この本が書かれたのはすでに20年以上前。その後状況は変わったのだろうか?サハリンの彼らが時に望郷の念断ちがたくとも穏やかに暮らせているといいのだが。そう思うのはある意味間違っているだろうけれど、そう願うことしかできない。2012/04/20

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