新潮文庫
タタド

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  • サイズ 文庫判/ページ数 185p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101307817
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

波の音を聞くと、遠い土地に流れ着いた流木のような気分になる―。海辺のセカンドハウスに集まった地方テレビのプロデューサー夫婦と友人二人。五十代の男女四人は浜辺に落ちた海藻を拾い、庭に実る猿の頭ほどの夏みかんを頬ばり、ワインを飲んで、心地よい時間を過ごす。翌朝、四人の関係は思わぬ「決壊」を迎える(川端康成賞受賞・表題作)。日常にたゆたうエロスを描く三編。

著者等紹介

小池昌代[コイケマサヨ]
1959(昭和34)年、東京生れ。津田塾大学国際関係学科卒。’97(平成9)年『永遠に来ないバス』で現代詩花椿賞、2000年『もっとも官能的な部屋』で高見順賞、’01年『屋上への誘惑』で講談社エッセイ賞、’07年「タタド」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なゆ

68
穏やかならぬ空気漂う短編3つ。「タタド」は微妙なバランスの男女4人の、そのバランスが崩れるあっけなさ。夫婦とその友人の男女が、海辺の家で過ごす一夜。こういう展開は好きではないけど、文学的エロスとでもいうのかな。「波を待って」の浜辺で夫を待ち続ける妻も、物思いに耽るのはいいけどのんきすぎやろー、と何度ツッコんだことか。文学的のんき。「45文字」も、まだ起こらないけど起こらないとも限らないあやしさ。同級生夫婦の家に泊まり込みで仕事を手伝うのだが…お茶を注ぎ分ける様子が淫らに見えたらもう、文学的三角関係未満。2019/11/16

hrmt

35
小池作品は初。その人なりに感じればいい類いの物語なのかな。筆致は抑えられているのに私にはとてもエロティックに感じられた『タタド』。激しい欲望を通り過ぎた50代の関係は、ただ肌と肌を密着させる心地良さを想起させる。『波を待って』は門の内側に閉じ込められた妻の諦観が少し甘くもあるのに、波に捉われた夫の輝きへの羨望に愛しさと矛盾する悪意を感じた。性的なものを感じさせない夫婦と同居する同級生が日常につける『45文字』のキャプション。厳選された言葉に、その空気感と視線の先にある思いの変化を感じずにはいられなかった。2018/01/06

おいしゃん

29
川端賞作品。3編とも、夢か現かといった、フワフワした雰囲気。特に、年甲斐もなくサーフィンにハマった夫が、いつまで経っても海から上がってこない「波を待って」の、危うげな雰囲気は中毒になりそう。2021/12/16

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

28
1組の中年夫婦と、夫婦の友人や仕事仲間の男女1名ずつの4人が海辺の家で過ごす一日……小さな男の子と中年の夫婦、妻視点の物語、夫は波にとりつかれている……無職の俺が高校時代のある一日を思い返していると、坂の途中で高校の同級生と再会する……どの話も、不安や死、そして、その裏にあるエロティックなものを思い浮かべてしまう。2015/03/27

ロマンチッカーnao

22
小池真理子さんの棚で何を読もうかと思いつつ手にとった作品。解説を読んでも小池真理子さんと思ってた。作者名を見てからあっ違うと思ったけど、そのまま読んでみた。表題作タタドは川端康成賞受賞作らしく引き込まれるものがありました。知らない作者でしたけど、得した気分になりました。50代以上の心情が描かれていてよかったです。他二篇もうん、わかる、わかるって感じでしたね。2021/08/13

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