内容説明
永井姉妹と森口兄弟は、姉と兄、妹と弟が同級生同士で、常に互いの消息を意識してきた。特に、弟の英二と妹の美浜は、強い絆で結ばれていた。が、ある日、一人が永遠に欠けた。英二が自殺したのだ。美浜は、欠落感を抱えたまま育った街に帰って来る。街はディズニーランドが建設され、急速に発展していた。そこで、美浜は兄の恵一に再会する。バブル前夜の痛々しい青春を描く文庫オリジナル。
著者等紹介
桐野夏生［キリノナツオ］
１９５１（昭和２６）年、金沢市生れ。成蹊大学卒。’９３（平成５）年、『顔に降りかかる雨』で、江戸川乱歩賞を受賞する。’９７年に発表した『ＯＵＴ』は社会現象を巻き起こし、同年、日本推理作家協会賞を受賞。’９９年『柔らかな頬』で直木賞、２００３年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’０４年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’０５年『魂萌え！』で婦人公論文芸賞を受賞した。また、英訳された『ＯＵＴ』は、’０４年にアメリカで権威のあるエドガー賞に、日本人で初めてノミネートされた。エンターテインメントの枠を揺るがす問題作を次々と発表している（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
356
桐野夏生最初期の作品で、「すばる文学賞」応募作を改稿したもの。桐野自身が「あとがき」で語る「取り残された人々」、「滅びゆく家族」を描いた小説。彼女は「読者に伝わるだろうか」と危惧するが、大丈夫。その寂寥感と名付けようのない哀しみは十分に伝わってくる。そして、タイトルの持つアイロニーも。私が子供だった頃、金曜日の夜8時からあったTV番組『ディズニーランド』。もちろん浦安のそれはまだない頃だ。僕たちはそれにどれほど憧憬の念を持って見たことか。「冒険の国」、「おとぎの国」、「未来の国」。桐野は儚い幻想の過去を⇒2017/08/27
スエ
103
薄い。解説含め166ページ。紙のように薄っぺらい人間、スエにピッタリの一冊ですね！ ……しっかし、主人公の女性の職場が羨ま凄い。建設会社の出張所のお留守番！仕事はほぼ無く電話番で、本も読んで良いのですって！！ こ、こんなチョベリグなお仕事、あっしもとらばーゆしたいッ！！……ちょっと興奮したわね。落ち着いていきましょう。 時代設定はバブル前。携帯パソコンCD無い。男子なんて、彼女の家に電話するのも一苦労！「はい、〇〇です」 お父さんがでちゃった時の気まずさったら無いでしょうよ！！ははは！！ 以上で文字数切れ2021/07/24
どんぐり
67
1988年の「すばる文学賞」最終候補作を改稿した文庫オリジナル版。桐野さんの作品は出たら必ず読んでいたのに、何故か未読。これは過去の出来事に囚われ、取り残された人びとが生きる家族の物語。バブル前夜の造成地、団地マンションからは、「夢や冒険や未来」の象徴であるディズニーランドを望むことができる。それと対比するかのようにこのマンションで暮らす家族4人は、取り残されたかのように生きている。虚飾に満ちたママ友『ハピネス』のパロディよりは、ちょっと翳りのあるこちらのほうがより現実に近い世界を描いていて，好みだ。2015/06/09
Yuna Ioki☆
49
1085-288-32 姉妹仲が悪いとか吉田さんの行く末とか妙に現実的で自分に降り掛かってきそうな予感がして身につまされる(¯―¯٥)妹は損な立場だわ。。。2015/07/23
ピース
43
千葉のマンションに住んでいたが、その近くにディズニーランドができたことで周りの環境が一変し、自分達家族が取り残されてしまったということか？何かスッキリしない感じだった。2019/12/26
