内容説明
権力は、抗う者には容赦なく牙を剥く―。税理士・飯塚毅は、中小企業のためにとった税務手法を否定され、当局を相手に訴訟を起こした。だが、横暴な大蔵キャリア官僚は、それを許しはしない。メンツのためだけに、飯塚の顧客へ理不尽な税務調査が行われ、さらに彼の事務所には検察の捜査までもが及んだ。それでも男は権力と闘いつづけるのか。生きる勇気を与える、実名経済小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
46
この作品で取り上げている飯塚事件のことは何も知らずに手に取ったが、かつてこんな国家権力の横暴があった事実に愕然としてしまった。戦後の法治国家にあるまじき出来事で、第二の帝人事件だと騒がれるのもよくわかる。当時の国税庁の官僚だった、金子訟務官、安田直税部長、木村長官らの横暴を作中で実名で名指ししていることに、著者がとてつもなく憤っていることがわかる。なので、読んでいてムラムラと憤怒の感情が湧き上がってくることを、どうもに止めることができない。(下巻に続く)2022/12/18
PEN-F
38
今はちょっとこういうのシンドイ😵💫2022/07/10
さっちも
12
ある税理士が国税局の要人を怒らせた事で、検察、司法を国税局が操って税理士事務所を潰そうとした実話。理不尽に耐えに耐える精神力、清廉潔癖な人柄、ズバ抜けた頭脳とヒーロー実話小説。興味深いのは高校、大学と誰も寄せつけづに首席で卒業するのにガリ勉タイプでない事。禅寺から学校へ通う主人公は、勉強せずに座禅ばかり組んで禅定三昧にふける。変な話、座禅する事で集中力や抽象化能力が養われているのだと思う。アップルやグーグルで座禅や瞑想をする部屋があるのだけど、ある種の能力開発に効果があるのではという事を確認したかった2017/09/16
Yスキー
10
熱い話です。TKC創業者の飯塚毅さんと、官僚のバトル。ほんとこの人は難しい話をわかりやすく書くのがうまいなー。2010/04/13
かぶき者
6
戦後間もない混乱期に国家権力に立ち向かい妥協を許さず信念を貫いた税理士の戦い。不条理な嫌疑をかけられ社員が逮捕されるという事態。それでも信念を誠実に訴え代議士の応援を取り付け国会までも巻き込み戦いを続ける。それでものらりくらりかわす国税庁。裁判の行方も気になったが、ブレない信念と支える家族に感服。2022/06/21