内容説明
左遷辞令が大手音響機器メーカー宣伝部副部長広岡修平に唐突に下された。得点こそはあっても失策などは思い当たらない。むしろ、正義感と仕事への情熱に溢れた広岡は同期中の出世頭として次期部長の逸材と目されていたのだ。不可解な人事に広岡は自ら調査に乗り出した。やがて様々な思惑と陰謀が見えてくるのだが…。大企業にありがちな不透明な人事の構造を暴く経済小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつし@
7
真山仁作品を読んできて、ふと経済小説の先駆的な高杉良さんの作品を読んでみようと思ったので。物語の時代はリーマンショック以前のため良きも悪しきも「古き良き時代」と括られる会社組織の面影があった。今読む本か、と問われたら多分違うのだろう…? 時代小説はいつ読んでもいいが、直近の過去の物語は読む側が何を楽しむか持っていた方がいいような…。もう一冊同時購入本を読もう。2017/11/27
Taro
7
自分も会社員なので、この小説の人間関係のドロドロした部分や出世欲に関する部分は、リアリティを感じながら読み進めていきました。時代が変わっても、人の欲に関する部分はなにも変わらないなぁというのが、正直な感想。読み物としては面白い小説でした。2012/05/08
みちかなもに
6
企業小説。 落ち度がないはずのエリートが痛くも無い腹を探られて ファミリー企業の理不尽な人事と必死で闘う。 主人公の自分の部署・仕事・家族に対するの思いの強さから同僚に対するライバル心と思いやりも読み取れます。 完璧でない現実的な人となりをうまく描いていると思う。 ナイス・ミドルとは気骨のある三田常務のような人だと思った。2013/09/03
じゅり
5
妙にリアリティがあるだけに読んでいてなんともやりきれない思いが拭えなかったので、☆3つ。2014/02/21
ランクル一番
5
10年以上ぶりの久しぶり再読、面倒見がよくおせっかいなミドルと、ワンマン経営会社の創業会長と、ジュニアとの確執。完全なフィクションだというが、実にリアリティがあって、一気読み間違いなし。同期入社の仲間意識と競争意識の駆け引きも絶妙。楽しめた。2013/05/27