出版社内容情報
この町は、おかしい――。高速道路の誘致運動。町に残る伝承。そして、弟の予知と事件。十代の切なさと成長を描く青春ミステリ。
越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷である坂牧市に越してきた少女は、母と弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始めた。たが、町では高速道路誘致運動の闇と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出す。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
内容説明
越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ…。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978(昭和53)年岐阜県生れ。2001(平成13)年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。’11年、『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。’14年『満願』で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
550
面白かった。一気読み。土着民話と現在の利権が絡んだミステリーなんだけど、なんたって主人公のハルカがいい。まだ中1なのに、大人びていて世間を知り尽くしているかのような言動。とても頭のいい少女だ。彼女の人間関係(主に家族関係)なども横糸に、読者は次から次へとページをめくらされる。三浦先生もよかったな。彼女の成長を、後日譚ででも見守っていきたいものだ。順序は逆だが『追想五断章』も本棚にあったので続けて読むことにする。2023/03/26
黒瀬 木綿希(ゆうき)
183
父の失踪により母親の故郷に移り住んだ少女・ハルカの成長物語であると同時に、過疎化の進む地方都市に残された伝承をオカルト的題材として見事に組み合わせたミステリ。 まず感じたのはよそ者に対する気味の悪いほどの拒絶。些細な違和感が連なっていき、僅かなヒビ割れが別のヒビと繋がっていくように『この町と住人は何かがおかしい』そう思いながら読みました。 結果として町の人々が縋ったものは作中序盤でハルカが指摘したように悪い道にしか進まないだろう。その為に多くの犠牲を払ったが、犠牲を払ったからこそ後に退けなくなったのか。2020/04/10
kishikan
175
リカーシブル(再帰)というタイトルが、どのような意味だったのか米澤さんに聞きたいけれど、そんな話は抜きにしてもこれは結構問題作。複雑な事情を抱えた、母と姉・弟の家族。その家族が移り住んだ町には、奇妙な言い伝えと、今は中断している、かつては町中を巻き込んだ開発話があった。そんな中で、内気な弟は未来を予言したりデジャブの発言。主人公の中学生ハルカは、見知らぬ土地と学校生活に懸命に馴染もうとしつつこの土地が持つ謎を追う。十代特有の悩みを乗り越え成長する女の子を描いた青春ミステリ。その後がどうなったのか気になる。2015/09/07
KAZOO
163
米澤さんの短篇を読んで長編が読みたくなったので、手に取ってみました。最後まで読ませてくれましたがちょっと短篇に比べるとやや冗長的な感じが無きにしも非ずでした。この本もやや既視感があり、恩田陸さんや宮部さんの作品を思い浮かべるところがありました。母親の存在感が薄い感じです。2016/06/30
yoshida
152
練られた大掛かりな構成に、地方の因習を加えたほの暗いテイスト。米澤穂信さんの作品だと実感する。私は米澤さんが作品で「満願」が最も好みなので楽しめました。父が失踪し義母の故郷に引っ越した中学生のハルカ。義理の弟のサトルは小学生。初めての土地の筈が既視感を訴えるサトル。あたかも千里眼のような啓示を持つサトルに、ハルカは街が持つタマナヒメの因習との相似を見る。最後の対決で真相に感嘆する。あまりにも大きい仕掛けだった。聡明すぎるハルカ。だが、ハルカとサトルの未来は苦いものとなるだろう。ヒロインの強さも魅力の作品。2020/05/04