新潮文庫<br> 7月24日通り

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新潮文庫
7月24日通り

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  • サイズ 文庫判/ページ数 215p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101287539
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

地味で目立たぬOL本田小百合は、港が見える自分の町をリスボンに見立てるのがひそかな愉しみ。異国気分で「7月24日通り」をバス通勤し、退屈な毎日をやり過ごしている。そんな折聞いた同窓会の知らせ、高校時代一番人気だった聡史も東京から帰ってくるらしい。昔の片思いの相手に会いに、さしたる期待もなく出かけた小百合に聡史は…。もう一度恋する勇気がわく傑作恋愛長編。

著者等紹介

吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968(昭和43)年、長崎県生れ。法政大学経営学部卒業。’97(平成9)年「最後の息子」で文學界新人賞。2002年『パレード』で山本周五郎賞、同年発表の「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞。ジャンルにとらわれない幅広い作風と、若者の心情をみずみずしく描き出す筆致の確かさに定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

544
主人公の小百合は、自分が生まれ育ち、今も生活している町をリスボンになぞらえている。タイトルの7月24日通り、コメルシオ広場、フォンテス・ペレイラ・デ・メロ大通りなどという風に。つまり小百合は「夢見る女」なのである。また、本書の背景にはポルトガルの詩人ペソアの面影があり、それが物語の全体に抒情を添える。そこまではいいのだが、人物設定とプロットの根幹は、やや大人向きであるとはいうものの、内実は少女漫画に他ならない。しかも、それはごくありきたりで、もはや古典的とも言えるくらいに陳腐なそれである。残念。2019/08/17

こーた

281
故郷の街を異国に見立てて遊んでいたら、退屈な日常が、人生そのものが小説のように輝いて見えて、でもそれがぐわっと劇的に翻って引き戻される。僕はずっと都心の街に暮らしているけれど、その生まれ育った街からは一度も出たことがない。だから奇妙にかんじる。街を出て行ったひとがいて、外からやってきた友人があり、また戻ってきたひとがいる。見慣れた街で異人と再会する。そのどこか捻れたような感覚。吉田さんの小説は、現実よりも現実、というかんじがする。圧倒的な現実が、向こう側から襲いかかってくる。虚構が現実を飲みこんでいく。2019/11/27

yoshida

201
生まれ育った街で働く小百合。同窓会に高校時代の憧れの人が東京から帰り参加する。同窓会以降、予想だにしないことが小百合を待つ。憧れは憧れであり現実には叶わないことの方が多い。年齢を重ねれば憧れは甘美な想い出になる。しかし、憧れが現実になる機会が訪れればどうするか。その先には手痛い間違いが待っているかも知れない。それでも機会を活かすことを選びたい。私だったら選ぶ。そうしないと一生の後悔を持つだろう。だからこそ、この作品での小百合の最期の選択を私は支持する。人生は一度きり。傷ついても後悔のない生き方をしたい。2018/04/22

夢追人009

187
高校時代の片思いの彼と同窓会での再会から始まる平凡なOL小百合の愛の物語。故郷の港町をリスボンに見立てて日々の憂さを晴らす小百合は地味な自分を自覚していながらも、同じタイプの異性は物足りなく思えて我慢できないのですね。イケメンの弟の恋人めぐみにも私はあなたを認めないと不満を露わにする複雑な性格のヒロインに降って湧いた高校時代一番人気の片思いの相手・聡史との愛のチャンス!同時期に偶然知り合った画家志望の青年にも心が揺れるのだが彼女は現実を取るか理想を追うのか?本書の教訓は失敗を恐れずにトライしよう!ですね。2020/01/23

ミカママ

176
タイトルに惹かれて気になってた作品、7月24日を目前にして手に取ることができました。ラスト数ページは祈るような気持ちでドキドキしながら。高校時代からずっと憧れた王子様が、既婚の彼女ににフラれたからって、あっさり小百合になびいちゃうのかな?とそこだけは疑問だったけど、結果オーライだものね。この作品は日本中のちょっと地味で自分に自信のない女の子たちに夢と希望を与えてくれる...はず。各章につけられた性格分析タイトルのうち、私は1と4と9だけ当てはまってました。(笑)2015/07/17

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