出版社内容情報
野間文芸新人賞受賞作。
町田康氏、絶賛!「ただの雑音がなぜか壮大なシンフォニーに成り変っていくさまを聴くような、感動的かつ快楽的な読書体験だった。」(第27回野間文芸新人賞選評より)
内容説明
配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので…。新潮新人賞選考委員に「ピンチョンが現れた!」と言わしめた若き異才による、読むほどに豊穣な意味を産みだす驚きの物語。綿密な考証と上質なユーモアで描く人類創世譚「クレーターのほとりで」併録。
著者等紹介
青木淳悟[アオキジュンゴ]
1979(昭和54)年埼玉県生れ。早稲田大学文学部在学中の2003(平成15)年、「四十日と四十夜のメルヘン」で、新潮新人賞を受賞。’04年発表の第二作「クレーターのほとりで」が三島由紀夫賞候補となる。上記二作を収録した初の小説集『四十日と四十夜のメルヘン』で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
77
☆2.5 末尾の解説で保坂和志が書いている。 「この小説の全体像はわからないことだらけだ」 保坂が書くように、この小説は全くわからない。 わかる人はかなり高等な方だろう。 わからないのだが、ただ雑音の羅列であるのだが、なのに何故か読まされてしまう。不思議だ。 2021/01/17
ふう
34
表題作の方は、読み終えてすぐまた読みました。ひょっとしたら間違って読んでいないかなと思って。おもしろい作品でしたが、それ以上の言葉で感想を書くことができません。読みやすく、時には読者の想像力を狭めるほどに登場人物が語り過ぎる作品がありますが、この作品は全く逆。もう少し何か語ってほしいと思うくらい。でも、確かにメルヘンなのかもしれません。「クレータのほとりで」は、根性で読み終えました。神話の部分と、現実的な寓話と、そして最後は寂しい地球人の物語…。2014/07/13
*maru*
32
小説が書けない私。日記をつけ始めるも、たったの四日間で力尽き、その四日間をひたすら繰り返すままならない日々を送る私。大量のチラシに埋め尽くされた部屋で暮らす私。ループもの?SF?ファンタジー?ふわふわしたままとりあえず読み進め、ふわふわしたまま読み終えて、最終的に私の中にはチラシが残る。嗚呼、読解力…。表題作はとにかくふわふわしてしまったが『クレーターのほとりで』は、そんな私でも楽しめた。しかし悔しいかな、この作品の良さを理解しきれていないなきっとという不完全燃焼状態なので、時間をおいて再読しよう。2018/08/02
tomo*tin
31
何が何やらだんだん意味が分からなくなって何度も行ったり来たりしながら読んだので、ただでさえぐるぐる色んなものが巡っている世界なのにそれに囚われてしまい尚一層ぐるぐるになり、自分が物凄く馬鹿になったような気分になった。ええと、ちょっと待って、今日は何月何日で今は何時で此処は何処でわたしは誰だっけ?それが誰であれは何だったっけ?てな感じで全く軸が見えない。完敗である。もはや何を語ろうとしているのかさえちっとも分からない。分かったのは私が馬鹿だということだけでした。なんだそれ。2009/09/03
とりあえず…
27
表題作を含む2作。果たしてこの2作を完全に理解できる人はいるだろうか?そして完全に理解する必要はあるのだろうか?funという意味合いでの単純な面白みには欠けるが、interestingという意味合いでは著しく面白い。読んでるうちに「なんだ?なんだ?」と気づくと必死に行きつ戻りつ、読みこんでしまう。淡々とした運びは好みだったかも。2013/11/11