新潮文庫
日本文学100年の名作〈第6巻〉1964‐1973―ベトナム姐ちゃん

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  • サイズ 文庫判/ページ数 543p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101274379
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

出版社内容情報

新潮文庫100年記念刊行第6弾。大江健三郎、司馬遼太郎ほか、今読むべき名作12編収録。

五輪に万博。好景気に沸く時代にも、文学は実直に鮮やかに日本の姿を映し出す。厳選12編収録。川端康成「片腕」、大江健三郎「空の怪物アグイー」、司馬遼太郎「倉敷の若旦那」、和田誠「おさる日記」、木山捷平「軽石」、野坂昭如「ベトナム姐ちゃん」、小松左京「くだんのはは」、舜臣「幻の百花双瞳」、池波正太郎「お千代」、古山高麗雄「蟻の自由」、安岡章太郎「球の行方」、野呂邦暢「鳥たちの河口」

内容説明

五輪に万博。好景気に沸く時代にも、文学は実直に鮮やかに日本の姿を映し出す。厳選12編。

著者等紹介

池内紀[イケウチオサム]
1940(昭和15)年兵庫県姫路市生れ。ドイツ文学者。翻訳、評論をはじめ、エッセイ、人物列伝、演芸・歌舞伎論など、執筆範囲は多岐にわたる。訳書に『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)などがある

川本三郎[カワモトサブロウ]
1944(昭和19)年東京生れ。文学、映画、旅を中心とした評論やエッセイ、翻訳など幅広い執筆活動で知られる。著書に『大正幻影』(サントリー学芸賞)、『荷風と東京』(読売文学賞)、『林芙美子の昭和』(毎日出版文化賞)など多数

松田哲夫[マツダテツオ]
1947(昭和22)年東京生れ。編集者、書評家。’70年に筑摩書房入社後、数々のベストセラーを生み出し、“ちくま文庫”を創刊する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

40
第6巻は、1964年から1973年までに発表された12の短篇が収められています。川端康成の「片腕」、小松左京の「くだんのはは」は読んでいました。この頃に書かれていたのですね。皆さんも書かれている和田誠さんの「おさる日記」という作品が短い割にあっと言わせる感じで楽しめました。2015/03/01

みつ

33
既読はおそらく川端の『片腕』と大江の『空の怪物アグイー』のみ。前者は昨夏再読したので印象は鮮やか。「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」の娘の言葉で始まる非現実的な不思議な物語は、淡々とした描写にフェティシズムの妖しい香りに満ち、さらに意外な展開に。『みずうみ』や『眠れる美女』の系譜にある彼の美意識の一端を覗かせる。大江作品は死んだ子の幻影を抱えて生きる音楽家の物語。『個人的な体験』の裏返しのようにも読める。なお、(本巻に限らないが)特にこの作では結末にはっきり触れているので注意。表題作は、日本の戦後が➡️2024/02/20

メタボン

30
☆☆☆★ 川端「片腕」小松「くだんのはは」は再読。大江健三郎「空の怪物アグイー」は文章もさることながらその啓示的な内容が響いた。野坂昭如「ベトナム姐ちゃん」、アネゴの逞しくも熱い情に感動。陳舜臣「幻の百花双瞳」は幻の料理をからめたミステリー仕立てで面白く読んだ。池波正太郎「お千代」、化け猫じみた長寿猫に追い払われた形となった女と男の関係性が面白い。野呂邦暢「鳥たちの河口」は、傷ついた渡り鳥や河口の描写とカメラマンである主人公の心情とがリンクして印象深かった。古山高麗雄「蟻の自由」は実体験に基づく戦争小説。2019/05/06

kasim

29
この巻も傑作揃いだが、既読の二編「片腕」「くだんのはは」があらためて読んでも特に好み。後者の戦争の影の独特の深さ。司馬遼太郎「倉敷の若旦那」の志士はいかにも上滑りで、編者が言うような英雄と表裏の人物とは思えなかった。和田誠の変わらぬ上質のユーモア、飄々とした木山捷平「軽石」(倉田江美の元ネタだったとは!)もいい。究極の点心を追求する陳舜臣「幻の百花双瞳」は誰のため、何のために料理するのかという問題もスリリングな一種の芸術家小説。ミステリー仕立てはなくても充分だったはず。2018/12/05

A.T

28
再読の作品も幾つか。他の作家作品と隣り合わせると、また違った印象で読めた。小松左京「くだんのはは」はSFというより戦時への批評的な目線が強まった。内田百閒「件」※シリーズ第1巻に収録 との編集連携がニクイ。初読み大江健三郎は、現実とファンタジーの同居のしかたがまるで宮崎駿アニメのようだった。伝統的世界観からはみ出てしまう時、現実をファンタジーに捉えることも一理あるのかな。そう思うと、苦手な村上春樹も少しは読めるのかもしれない。(続く)2021/03/07

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