内容説明
兎田孝則は焦っていた。新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。母子は怯えていた。眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、さらに家族には秘密があった。連鎖は止まらない。ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、警察は特殊部隊SITを突入させる。軽やかに、鮮やかに。「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端!
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971(昭和46)年千葉県生れ。’95(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。’08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞。’14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、’17年『AX』で静岡書店大賞(小説部門)を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
583
一時期ハマった伊坂さんのひさびさ作品。いやぁ難かしかった。いつもならば軽妙な会話を楽しめるのだが、今作では残念ながらそれすらも凌駕する読みにくさだった。こちらが伊坂作品を楽しめる年齢を超えてしまったということか。2023/05/17
馨
373
長編エンタメ犯罪小説。長かったけれど語りが軽やかな文体で、映画かドラマ映像を見ているようなストーリー展開で飽きることなく読めました。兎田が立て籠もった家の家族、空き巣の黒澤、警察、折尾、登場人物が関係ない人たちだったと思いきや、エピソードが語られると次々と繋がっていって最後は思ったよりあっけなかったけれど終わり方も良かったです。2022/09/14
bunmei
303
数時間の『人質立てこもり事件』が題材。展開も各登場人物の視点によって刻々と変わる中で、時間を遡って事件に至るまでの経緯や人間関係等、前半は多くの伏線を散りばめている。そして、後半への期待を高めて結末へと導く。完全に行き詰った犯人が「いったい、この先どうなるのか?」という不安を煽りながら、最後は、見事にスカッと回収していくあたりは、伊坂作品の真骨頂とも言える。また、オリオン座の神話説、事件経過を繋ぐナレーション、『因幡の白兎』や『レ・ミゼラブル』の引用等を絡めたユーモアのセンスも忘れていないのも嬉しい。2020/11/13
五右衛門
284
読了。当然のことながら新品買いました。ネット購入なのでうちわしおり貰えませんでしたが。相変わらず冴え渡っていました。黒澤。ですよねー!!!今回の作品はいつもより丁寧に少し時間を戻そうとか読み手を騙そうとか混乱させてやるぞ等の思惑が無くしっかり作者に付いて行けました。けれども謎解き回答編では仰け反って天を仰ぎました。冬ならばオリオン座がみえたかもですが。そこなんですよね。伊坂作品の真骨頂は!兎田の皮が剥がされたのを綿(神話では蒲の花)で癒すのかな。この作品は近々再読候補です。それに泥棒探偵続編希望です。2020/07/01
こーた
249
オリオン座に因幡の白兎、そして『レ・ミゼラブル』。ひさしぶりに読む伊坂幸太郎は、夜空に煌めくベテルギウスのように、この小説でもあいかわらずの光を放っていて、そのかわらないということが、ぼくにはうれしくもある一方で、まだこんなこと書いてるのかおれは騙されねーぞ、と身構えるも237頁でがらっと物語が反転して、今度もまんまと騙されてしまったのである。黒澤たちと再会できたのもよかった。軽妙な会話が愉しくて、展開だとか伏線だとか、畳むとかそんなことはどうでもいいから、その遣りとりだけをもっとずっと読んでいたかった。2021/10/27