新潮文庫
人の痛みを感じる国家

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  • サイズ 文庫判/ページ数 296p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101249223
  • NDC分類 304
  • Cコード C0195

内容説明

匿名で中傷や攻撃を繰り返す人々、ゲームに汚染され、心の発達が止まった子供たち、他人の痛みにまったく鈍感な役人や企業…日本人の精神は、どこまで壊れてしまうのか?組織の一員としてではなく、被害者やその家族だったらどう感じるかという視点を持つことが何より大事である。ネットやケータイの弊害を説き続ける著者が、大切なものを見失ってしまった日本人に警鐘を鳴らす。

目次

名を隠す日本人、お前は何者か?
個人情報保護でこの世は暗黒へ
ITバブルと脳内汚染
“心の分娩”は三年かかる
詩人は金魚を突き殺す
被害者の死を待つ被告人・国家の怪
人の痛みを感じる国家は創れるか
現場・現物が語り出すとき
パソコンと棚田
続・パソコンと棚田
人間到る処青山あり
“新老人ジュニア”青山探しの旅

著者等紹介

柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936(昭和11)年、栃木県生れ。’95(平成7)年『犠牲―わが息子・脳死の11日』とノンフィクション・ジャンルの確立への貢献に対し菊池寛賞受賞。災害・事故・公害問題や、生と死、言葉と心の危機、子どもの人格形成とメディア等の問題について積極的に発言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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さきん

22
ネット、ゲームも使い方次第だと思う。現実世界で疲れたら、非現実世界に居場所を見出すというのも悪くはない。現実世界へ迷惑をかけないように頑張ればよいと思う。電波の身体に与える影響に関しては対照実験もほぼできていないので何とも。結論ありきの議論には疑問を感じる。2020/09/05

フーミン

13
匿名社会の無責任なネット社会はこれから行き着く先どんな風になっていくのか… タイトルに集約されている「人の痛みを感じる国家」は人間としてあるべき姿を喪失しつつある今の社会に警鐘を鳴らしている。今一度立ち止まってまずは自分の生活から見直して行かなければと思いました。2022/11/23

Cinejazz

9
日本の国で生まれ育った日本人が、人の痛みを感じて、どこまで癒しの境地に到達できるか、IT社会という器械文明がもたらす弊害に対して、どこまで人間としての矜持を抱きながら、自然界と調和し生きていけるのかを問いかけ、警鐘を鳴らし続ける柳田邦男氏の魂の叫びです。ケータイとネットでの匿名の書き込みによる中傷や脅迫、個人情報保護法の運用上の弊害、行政の「裁量権」という怠慢と被害者の死を待つ被告人、障害児や身障者の気づきと生きがいなど、深い思索の森からの提言です。2021/09/29

だいすけ

6
長期裁判ゆえの相次ぐ死は看過されがちなことだが、非常に大切な問題。当事者にとっては筆舌に尽くしがたいものだろう。裁判で白黒をつけても、何も得るものがない。人間を幸福にしないシステムや制度にこの国は覆われている。2017/11/24

ゆーいちろー

3
「人の痛みを感じる」ということが、人間個人と組織の問題二つの視点から紹介されている。特にゲーム、ネットに子供が浸り切るということが、人間の成長過程で大きな影響を与えうるという指摘は、子供を持つ身としては、見過ごしにできない怖い問題である。幼児期よりのネット、ゲームによる脳への影響も怖いが、匿名性という状況によって、後天的に助長される凶暴性は社会的生活を営む人間としての倫理やマナーの問題として深刻に思われる。しかし、わたしたちは一度手に入れたこの環境を容易には手放すことができない。それがまた恐ろしい。2010/08/23

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