感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
43
まったく軽い病気だが、自分が手術で入院したばかりなので、入院病棟の閉そく感は少しわかる。37歳のジャーナリストの、第三期の肺癌での1974年の国立がんセンターの3ヶ月の入院記録。本人に告知はしない時代なので、本当に癌なのかどうかを、本人が妻・医師・看護婦から、必死に探りだそうとしている。看護婦が、地方出身の20歳そこそこの方ばかりという描写が心にのこった。ベテランの看護婦は、避ける、過酷な職場ということか。2021/04/04
きいち
30
今年父を見送った。数年前の発見と手術以来、医師は丁寧に、本人、そして母の精神的な抵抗も考慮しながら、それでもしっかりと状況を解説し、当事者としての闘い、および病との付き合いを促し続けた。だから、収められた闘病ノートの専門用語の少なさは衝撃的だった。医師と患者の関係性もそう。本当に時代は変わったのだな。◇一方で、児玉自身の知りたいと知りたくないの間のせめぎ合い、患者たち同士の関係性などは今も変わらない。自分も素材の一つ、という執念。◇着飾って病院を訪れることで後ろ指をさされた妻のエピソードが心に残る。2020/01/12
yokmin
24
(奥様の)「手記」(沢木耕太郎がゴーストライター) 「夫の死顔はおだやかだった。苦しみの表情もなく、ふつうに寝ているようだった。顔に手を触れると暖かい」 「・・数日間のアッというような戦闘で逝くことができたのは、むしろ幸せだったかもしれない。」2022/08/27
ポン
8
児玉正子夫人の手記を沢木耕太郎さんが書かれたと知り興味を持ちました。沢木さん唯一のゴーストライター作品だそうです 。2021/06/21
katta
4
角栄の金脈追及など、新進気鋭のジャーナリストがガンに倒れた。国立がんセンターに入院した99日を心境とともに冷静に語ったもの。幕切れのあっけなさがかえって悲しい。2009/05/20