新潮文庫
ダウン症の子をもって

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101233314
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

IQからいえば知能が低く、虚弱でもあるけれど、性格は愛情豊かで心和まされずにはいられない…染色体の突然変異によるダウン症、もしわが子がこの障害をもって生まれたら―本書は、父親である著者が、ダウン症の次男との20年を、夫婦でつけ続けた成長の記録を頼りに、穏やかで冷静な筆致でまとめあげた手記である。人の持ちうる深い人間性を、胸に問う、感動のロングセラー。

目次

1 生まれた頃のこと
2 小さいときの記録
3 学齢に達した頃
4 「自立」のために
5 生活のなかで
6 心のつながり
7 可能性の哲学

著者等紹介

正村公宏[マサムラキミヒロ]
1931(昭和6)年、東京生れ。東大経済学部卒。専修大学教授。社団法人現代総合研究集団会長。専攻は、経済政策論、日本経済論。’70年代以来、規制改革、地方分権、社会保障改革、教育改革など日本の社会経済システムの転換に向けて提言をつづけている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tomomi Yazaki

15
昔はダウン症の子を持った親は、その死を願う人もいれば、育て守ろうとする人もいた。最近は出生前診断で、その生死の選別は簡単に行われる。著者の息子さんは、知能は1~2歳だったけれど、例外的に活発で、とても手をやいたそうです。それでも言葉を話せない子供に愛情をそそいでいたことは、文面からも確かに伝わってきます。本書は父母共同の日記を元に、随筆として綴られています。それを読むと、その遅々とした成長にも幸せと愛情を感じ取ることができます。本書を読めばわかります。ダウン症の子は、まわりが思うほど、特別ではないのです。2024/01/30

Misao Takemasa

5
ダウン症を持つ子供の成長の記録をまとめた父親の手記。家族の成長を見守り支援する努力が如何に大きく彼の成長に影響するかを学びました。障害を持つ方と関わる仕事をする自分にとって、障害の子にとって「自立」とはある達成された状態を意味するのではなく、「可能性」を求める絶え間ない努力の方向を意味するというくだりは、とても納得できました。 ハンディキャップを負った方々を収容する形ではなく、できるだけ普通の生活ができるようにするため、彼らの自立支援を通じて同情者ではなく理解者を増やす努力と工夫を続けたいと感じました。2012/02/18

okatake

3
昭和58年単行本発売の障害者の肉親が書いたものとしては古典になりつつあるものですね。 なかなか手に取ることができなかったのですが、やっと読むことができました。 とても平易な文章でわかりやすく、ダウン症を持つお子さん自身や著者、妻、兄との関わりもあたたく綴られていました。 たとえ重い障害であっても、可能性を探っていく、糸口を皆でたどっていくという日々の生活の中での地道な営みにあふれ、家族の外から関わる行政や専門家をはじめとする人々の役割、接し方への問題提起も含まれています。2019/09/25

大介

2
相模原事件をきっかけに障害とは、福祉とは、現代社会について疑問を持ち一読。 1983年に初版された本書だが、現代の福祉環境は決して良くなっていないのだと実感した。 差別や、障害について人々は思うところがあるだろう。その感じる事柄は全て、実際に障害を持つ子どもを親や、福祉関係に従事する人の感ずる事に比べたら薄っぺらなもので、憶測や、そのいっときの感情で考える事に比べたら質が違うと思う。なので、この本で書かれている事は全て非常に切実で、大切な事で、事実なんだと思う。 2018/06/26

雲をみるひと

2
購入後、長い時間読まなかった本だが、読んでみたら素晴らしい内容だった。各テーマのまとめ部分も日記の引用部分も共に読みやすい。当方はアイデアが浮かばないが、社会の構成員一人一人が弱者の可能性をどう引き出していくか考える必要性を感じた。2018/04/23

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