新潮文庫
無事、これ名馬

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  • サイズ 文庫判/ページ数 335p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101199238
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

吉蔵は町火消し「は組」の頭。火の手が上がれば、組を率いて駆け付け、命懸けで火事を鎮める。そんな吉蔵に、武家の息子・村椿太郎左衛門が弟子入りを志願してきた。生来の臆病ゆえに、剣術の試合にどうしても勝てない太郎左衛門。吉蔵の心意気に感化され、生まれ変わることができるのか…。少年の成長と、彼を見守る大人たちの人生模様を、哀歓鮮やかに描き上げる、傑作時代小説。

著者等紹介

宇江佐真理[ウエザマリ]
1949(昭和24)年、函館市生れ。函館大谷女子短期大学卒業。’95(平成7)年「幻の声」でオール讀物新人賞受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

240
頭のてっぺんから尻尾の先まで、宇江佐さんの魅力がぎっしり詰まっている作品。お栄と金次郎が…と思わぬでもなかったけれど。主人公はお栄ちゃんだよねぇ。「無事、これ名馬」読み終わって、タイトルの妙が、心にストンと落ちてきます。2016/09/25

じいじ

94
 主役は、武家の一人息子7歳の村椿太郎左衛門少年(通称:たろちゃん)。「拙者に男の道を指南願いたい!」と町火消の頭・吉蔵一家の門を叩きます。たまりませんねぇ。一家あげてのたろちゃん支援が始まります。感動と笑いの連続で、うれし涙が止まりません。吉蔵の娘お栄が魅力的です。火消の女房として、一女の母として、太郎の世話に…と八面六臂の大活躍。少々男勝りですが、竹を割ったような気風のよさに惚れ惚れします。おねしょに悩んだ太郎も立派に元服します。キャラづくりの巧さ、町人の人情の機微を見事に描いた宇江佐さんの傑作です。2016/05/12

優希

92
面白かったです。少年の成長を描く爽やかな作品でした。何と言ってもたろちゃんが可愛い。臆病なたろちゃんが火消しの吉蔵に弟子入りを志願するのは大きな一歩だったと思います。「は組」の人々も生き生きとしていて、江戸の火消しの命がけの潔さを知ることができました。勝ち気なお栄の意外と涙もろいところや吉蔵の穏やかな物言いもあたたかさを感じさせ、愛おしかったです。たろちゃんの成長を描きながら、吉蔵との年の離れた友情を感じます。最後のたろちゃんの潔さには弱虫のたろちゃんは見えません。時折ホロリとさせられました。 2015/11/30

Shinji Hyodo

88
火事と喧嘩は江戸の華。その火事を収めるいろは四十八組の内の『は組』の頭取を務める鳶職人の吉蔵も齢五十五。よる年波に町火消しの重労働が何とも堪える吉蔵の元にある日思いがけない客人が訪れる…「拙者、村椿 太郎左衛門と申しまする。以後、お見知り置きを」と言って現れたのはまだ七歳の幼気な男の子。自分を男にして欲しいと吉蔵に頭を下げる太郎左衛門の望みは「夜は一人で厠に行けること、青菜を嫌がらずに食べること、道場の試合に負けても泣かないこと…」だった(^^;2016/09/29

ふじさん

86
町火消し「は組」の頭の吉蔵の元に、武家の息子・村椿太郎左衛門が「男にしてくれと」と弟子入りを志願してきた。少年の成長と、吉蔵一家を中心に彼を見守る大人たちの人生模様をユーモアと哀歓鮮やかにに描いた傑作時代小説。太郎左衛門の父の言葉「…倅を駄馬と悪口を言う御仁もおりまする。だが、拙者はそうは思いませぬ。無事、これ名馬のたとえもござりまする。倅は拙者にとってはかけがえのない名馬でござる」、最高の誉め言葉。親として言いたいものである。 2021/06/27

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