内容説明
落語家の桂文珍師匠が、慶應義塾大学の教壇に立った。庶民派の関西大学で永年教鞭をとる師匠が、慶応ボーイ・ガールの集うスマートな大学へと所を変えて、高座ならぬ講座を持ったのだが―早慶戦や中国留学生までギャグのネタにしながら展開する授業内容は、笑いの国際文化論、健康学、古典芸能論にも及ぶ。爆笑しながらすらすらわかる哲学的お笑い論。
目次
第1講 それではみなさん、試験をいたします。
第2講 どうです、笑いの奥は深いでしょう。
第3講 では、総論として、笑いの効用について考えてみましょう。
第4講 では、具体的に、笑いの効用を考察してみましょう。
第5講 ですが、「発想による笑い」、これが大事なんです。
第6講 「舌耕」という言葉をご存知ですか。
第7講 そこで、古典の世界の、さわりから語ることにしましょう。
第8講 ここで、日本人の笑い話の源流を一緒にたどってみましょう。
第9講 いまは情報化時代です。「コンピュータと笑い」で幕を閉じます。
著者等紹介
桂文珍[カツラブンチン]
兵庫県出身。1969(昭和44)年、五代目桂文枝に入門する。’81年「上方お笑い大賞」金賞、’83年同賞大賞を受賞。他にも演芸関係の受賞多数。東西を代表する落語家の一人。古典から新作まで幅広くこなす闘う落語家で、他の追随を許さない実力派(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
26
さすが名落語家の桂文珍師匠です!面白く読ませて頂きました。この本は、文珍師匠が、慶應義塾大学の教壇に立ち、講座を持たれたのですが、その授業内容が書かれています。所々で、ギャグを交えつつ、色々な事を教えて下さっています。読んでて思ったのですが、ホント文珍師匠は博識であられて、それをさすが落語家だけあって、センスのある言葉で難しい事でも、分かりやすく伝えておられます。ホント引き込まれます。あまり、落語も見た事ないんですが、ちょっと文珍師匠の落語もぜひ聞いてみたいなあと思いました!2013/10/15
ぶんぶん
13
いや〜面白い。落語家・桂文珍が慶應義塾大学の学生に講義したものを纏めたものですが、実に興味深かった。「笑い」とは何か?哲学的質問に手を変え品を変え、落語的センスで講義する。早慶戦から納豆問題まで津々浦々まで網羅する。果ては国際文化論、古典芸能論にも及ぶ。しかし、凄いものですな、バカじゃ出来ない、利口はやらぬ、中途半端じゃなお出来ず…ですな。2013/12/26
びすけっと
11
2006年3月刊。単行本2000年刊。慶応での講義録なので、文珍さんの声が浮かんできて読みやすいです。笑いとはなにかが多角的に語られています。ダジャレは同音異義語の領域を出ていない(p.175)になるほど。古典に多くの笑いが込められている講義が興味深かったです。教養が無ければその笑いは得られないのはきつい。8~9講の白黒石の宿題、どうウィットを込めれば逃れられるかの視点で黒を二つ入れたという情報は重要だという法学部の学生、さすが。笑いのツボが同じな人と連れ合いにという下り(p.310~)は示唆に富みます。2015/02/12
やまねっと
9
桂文珍が慶應大で半年講義したものの書籍化である。 笑いについての講義なのだが、全部読んで全然記憶に残らなかった。読んでいる時はその場ではとても面白いのだが、残ったのは…何だったんだろう、と思った次第だ。それはまるで高座を聞いているような心持ちであった。 こんな楽しくて心に残らないなら、文珍先生の高座に立ち入ってみたいと心から思った。2022/03/21
スプリント
8
テレビでみる軽妙な語り口そのままの文章でした。 ユーモアとちょっとした毒舌が絶妙で楽しめました。2019/02/08