出版社内容情報
混沌へと向かう帝国をキリスト教が静かに侵食する。
疫病の流行や自然災害の続発、そして蛮族の侵入といった危機的状況が続く中、騎兵団長出身のアウレリアヌスが帝位に就く。内政改革を断行するとともに、安全保障面でも果断な指導力を発揮し、パルミラとガリアの独立で三分されていた帝国領土の再復に成功。しかし、そのアウレリアヌスも些細なことから部下に謀殺され、ローマは再び混沌のなかに沈み込んでいく。のちに帝国を侵食するキリスト教も、静かに勢力を伸ばしつつあった。
内容説明
疫病の流行や自然災害の続発、そして蛮族の侵入といった危機的状況が続く中、騎兵団長出身のアウレリアヌスが帝位に就く。内政改革を断行するとともに、安全保障面でも果断な指導力を発揮し、パルミラとガリアの独立で三分されていた帝国領土の再復に成功。しかし、そのアウレリアヌスも些細なことから部下に謀殺され、ローマは再び混沌のなかに沈み込んでいく。のちに帝国を侵食するキリスト教も、静かに勢力を伸ばしつつあった。
目次
第2部 ローマ帝国・三世紀後半(承前)(紀元二六〇年‐二七〇年(承前)
紀元二七〇年‐二八四年
ローマ帝国とキリスト教)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
400
ローマ帝国の国難・衰退はまだまだ続く。皇帝ガリエヌスがペルシャ王シャプールの手に落ち、あろうことか捕虜になってしまう。次いではボストゥムスがローマ帝国に叛旗を翻してガリア帝国を、さらにはゼノビアがパルミラ王国をそれぞれ独立させてしまい、ローマ帝国は3分割。もちろん、この間も、それ以降もゴート族をはじめとしたゲルマン人の侵攻は絶え間なく続き、しかも、その主戦場は帝国内である。もはや首都ローマでさえもが安泰ではない。現在も一部が残るローマの防壁はこの時に造られたようだ。2020/10/21
レアル
102
ここまでローマが堕ちてしまうと、もう誰が皇帝になっても同じではないか!と思えるくらい個人の力ではどうにもならない。どれだけの数の皇帝が入れ替わったのか。。そしてこの時期にローマの神々が廃り、キリスト教徒が浸透していく著者の分析も興味深い。2014/05/30
ケイ
100
ペルシャで皇帝が捕えられると属州でも反乱が勃発、ガリア王国ができる。ペルシアの猛攻をパルミアの英雄オデナトゥスの攻撃でしのいでいたため、父の捕囚により単独皇帝となったガリエヌスは彼を東方司令官とするも、オデナトゥスは甥に殺害される。妻のゼノビアの野心によりパルミア王国は拡大し、ローマは3つに分断された。その二代後の皇帝アウレリアヌスの時に、ガリアとパルミアを回復したが、暗殺される。その後もめまぐるしく皇帝は変わる。終身であるために、見限られると暗殺されたようだ。混乱の間にキリスト教は浸透していく。2014/12/02
KAZOO
73
この巻では、アウレリアヌスという軍隊出身の人物が帝位に就きます。この人物が長生きしていればかなりローマ帝国の寿命も少しは長くなったと思われますが、部下に殺されてしまいます。皇帝という地位はもう昔のような状況ではなくなったということなのでしょうか?ローマの軍隊をかなり改変したりした功績はあると思うのですが。2015/04/16
優希
71
危機状態から回復への道のりが論じられているように思えました。危機状態が続く中、アウレアリヌスが帝位に就いたことにより、彼の発揮する指導力が帝国領土の復活の成功へと繋がったのですね。しかし、それも束の間、ローマは混沌への道へと進むのがまさに迷走と言えます。キリスト教も少しずつ帝国へと侵略の手を伸ばし、ローマはどのような方向へと向かうのか気になります。2018/11/11