出版社内容情報
現れては消える軍人皇帝。彼らはローマを救えるのか。
カラカラ帝が東方遠征の最前線で、警護隊長の手によって殺害されるという事件が起こって以降、兵士たちによる皇帝謀殺が相次ぎ、元老院に議席を持たない将官出身の「軍人皇帝」が次々に現れては消える、危機の時代が続く。かくしてローマは政略面での継続性を失い、ついにはペルシアとの戦いの先頭に立っていた皇帝ヴァレリアヌスが敵国に捕縛されるという、前代未聞の不祥事がローマを襲う。帝国の衰亡はもはや誰の眼にも明らかだった。
内容説明
カラカラ帝が東方遠征の最前線で、警護隊長の手によって殺害されるという事件が起こって以降、兵士たちによる皇帝謀殺が相次ぎ、元老院に議席を持たない将官出身の「軍人皇帝」が次々に現れては消える、危機の時代が続く。かくしてローマは政略面での継続性を失い、ついにはペルシアとの戦いの先頭に立っていた皇帝ヴァレリアヌスが敵国に捕縛されるという、前代未聞の不祥事がローマを襲う。帝国の衰亡はもはや誰の眼にも明らかだった。
目次
第1部 ローマ帝国・三世紀前半(承前)(紀元二三五年‐二六〇年(皇帝マクシミヌス・トラクス;実力と正統性;元老院の反撃;一年に五人の皇帝 ほか))
第2部 ローマ帝国・三世紀後半(紀元二六〇年‐二七〇年(ペルシア王シャプール;皇帝捕囚;ペルシアでのインフラ工事;皇帝ガリエヌス))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
399
この巻でも目まぐるしく皇帝が代わる。もはやかつてのローマ帝国皇帝とは違って、皇帝位もそれだけ軽くなってもいたのだろう。中でもローマ建国一千年祭を挙行した皇帝、フィリップ・アラブスにいたってはゴート族が大挙してドナウを越え略奪の限りを尽くした時にも、自ら前線に赴くことなく代理のデキウスを送り込んだがために将兵たちの不興を買い、見事な戦いぶりを見せたデキウスに帝位を奪われてしまうのである。これ以降、ますますゴート族はローマ帝国領に侵攻してくる。ローマ危うしなのだが、それが不思議とまだ保つのである。2020/10/20
レアル
98
再読だからまだついていけてるが、イヤ、再読でも、皇帝が誰から誰へ変わったのか分からなくなるくらいコロコロと変わるローマ。そして北からの蛮族の侵入は増え、東方では大国パルティアが墜ち、ササン朝ペルシアが台頭する。内容的には、ローマの内情より遙かにこちらの出来事の方が存在感があるように思える。2014/05/27
ケイ
96
アレクサンデルの死後、軍人で叩き上げの60歳マクシミアヌスが皇帝となり、ガリアで戦績をあげるも、3年の留守の間に元老院は家柄の良い二人の皇帝を立てる。その二人も、マクシミアヌスも死亡し、元老院はさらに二人の皇帝を推すも、二人の権力争いとなり3ヶ月で二人共死亡。さきの二人の皇帝の子供のゴルディアヌス3世が皇帝に。6年もったがまた謀殺され、その次のアラブスでローマ建国1000年を迎える。皇帝は数年毎に変わり、260年に皇帝バシリアヌスがペルシア軍に捉えられ、ローマ建国以来最大の危機を迎える。2014/11/27
優希
70
危機の時代へと突入し、それが続いて行きます。多くの皇帝が相次ぐように交代していくので、政略面などが続かなくなったのでしょう。最終的にペルシアとの戦いで捕まった皇帝ヴァレリアヌスの存在が、ローマにとっては前代未聞のように思えてなりません。帝国は衰亡の道を歩んでるのですね。2018/11/11
KAZOO
68
紀元3世紀中ごろで皇帝がどんどん変わっていきます。また蛮族といわれているゲルマン民族の進出が顕著になってきています。やはりあまりに大きくなりすぎた帝国のほころびが様々な要因で明らかになってきます。皇帝の名前は到底わからないのですが、崩壊の原因がどのようなところにあるのかは興味深いところです。2015/04/16