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新潮文庫
哀歌〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 411p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101146416
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

鳥飼春菜はアフリカ最貧国の修道院に赴任した。多数派のフツ族と、少数派だがかつての特権階級のツチ族の対立の中、春菜は日本からは想像もつかないアフリカの現実に晒される。ラジオからは「ゴキブリ(ツチ族)を殺せ!」という檄が連日流れる。やがて微妙なバランスが崩れ、暴力と憎悪が炸裂した。100日で100万人が犠牲になったとも言われる、ルワンダの悲劇をテーマに描く待望の長編。

著者等紹介

曽野綾子[ソノアヤコ]
東京生れ。1954(昭和29)年聖心女子大学英文科卒業。同年発表の「遠来の客たち」が芥川賞候補となる。’79年ローマ法王よりヴァチカン有功十字勲章を受ける。’93(平成5)年日本芸術院・恩賜賞受賞。’95年12月から2005年6月まで日本財団会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ann

57
読友さんより教えて頂いた。「ルワンダ」といえば「虐殺 ツチ フツ」としての脳内認識が成り立つくらいの知識しか無く、かと言ってルポや写真を手にするまだ勇気が無い所に、キリスト者の曽野綾子氏の貴重な現地取材を元にした小説を読む機会を得られた事ことにに先ず感謝。嵐の前の静けさからのいよいよ本格的になるであろう「原罪の凄まじさ」を覚悟して臨む下巻へ。2019/08/02

ロマンチッカーnao

22
アフリカ、ルワンダの悲劇。同じ国に住むフツ族とツチ族。多数派のフツ族の人々が、ツチ族の人々を武器を持つものは武器を持ち、ないものは石を持ち、襲い殺し、10日間で100万人が犠牲者になったともいわれている。なぜ、それは起きたのか。もともとは、フツとツチは共に働きもするし、結婚もするし、違いはなかった。それが何故。最初は、ラジオ放送で、フツのDJが面白おかしくツチをいじり、それが受けて、エスカレートしていった。それが時間の経過とともに浸透し、ある日突然、どこかでフツがツチを襲い、コメント欄に続く。2019/07/14

Willie the Wildcat

16
修道女の視点を通した、ルワンダ部族間対立から人間の本質を問う。理想と現実。人間的にも、宗教的にも成長過程の主人公の心情が、日本人だけではなく現代人を表している気がする。現実から逃げることから、現実に対峙していく主人公。職業、役職など、”装飾”ではなく、個々人が人間として問われる道徳、規範。文化、歴史背景の異なる極限環境におけるその基準は何か?『哀歌』が満ち溢れる混乱が架橋へ。それにしても、歴史背景にあまり触れていない理由は何かあるのかな・・・。2012/10/13

nyantamaru

2
楽しく読み進める手が止まらない、と言う類の本ではない。日本人修道女が見たルワンダの悲劇。上巻はまだ嵐の前の不穏な静けさ。警察が信頼なかったり、日本では考えられないことがまかり通るアフリカの良い加減さはよく分かる。人に聞かれたら答えることが誠意だと思ってるから場所を知らなくても適当に答えてしまう。ただ良い意味でも悪い意味でも一修道女の視点から追うので、訳も分からず混乱していく恐怖は伝わるも、そもそもどうしてそうなったのか歴史的全体像を把握は出来ない。青年海外協力隊でアフリカに行く人はこれ読んでから行くと良い2019/09/03

うたまる

2
「生まれてから一度も平和を見たことのない人は、平和が何だか知らないのです。見たこともなく、知りもしないことを、人間が望むことができますか」……ルワンダ虐殺を下敷きに、人間と信仰を描く。驚くべきはアフリカ人のリアリズム。日本人の目には極めて冷酷に、狡猾に、怠惰に映る。しかし、このような環境下においては最も現実的な生き方であると肯かざるを得ない。で、ちょっと困ったのは、ここから度々「日本では~」「日本人は~」と脱線すること。そのせいで評論・エッセーのような感覚に陥り、小説の中に没入しにくくなってしまっている。2014/09/28

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