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新潮文庫
雪花草子

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  • サイズ 文庫判/ページ数 236p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101139531
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

幽玄の世に弄ばれる見目麗しき少年たち。人の心に巣食う残虐性を流麗な文章で綴る、切なくも官能溢れる御伽草子3編。

都の北東、深山に棲まう白薇童子は、父・地雷鬼の強くあれという望み虚しく朱唇艶やかな美貌の夜叉。これを母の仇と討伐に向かった中納言の嫡男・琉璃若。宮処で対峙したものの、半陰陽の童子にいつしか心奪われ……不思議な縁を描く「白薇童子」他、夜叉に堕ちゆく美しき舞手の苦悩、将軍家に生を受けた双子の運命の悲哀など、心に巣食う残虐性を流麗な文章で綴る官能溢れる草子3編。

内容説明

都の北東、深山に棲まう白薇童子は、父・地雷鬼の強くあれという望み虚しく朱唇艶やかな美貌の夜叉。これを母の仇と討伐に向かった中納言の嫡男・琉璃若。宮処で対峙したものの、半陰陽の童子にいつしか心奪われ…不思議な縁を描く「白薇童子」他、夜叉に堕ちゆく美しき舞手の苦悩、将軍家に生を受けた双子の運命の悲哀など、心に巣食う残虐性を流麗な文で綴った官能溢れる草子3編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

171
はらはらと零れる涙は白い薇となり、谷川はゆるやかな碧の面を見せて絹のようにたゆたう。紺碧の空をゆるゆると割って湯烟に溶ける粉雪の桜。「満天の星と篝火、それに蛍の光が、そそぎいれた酒の澄んだ水のなかでゆらいでいる」 宝玉のことばたちが、この世のものと思われない美しい情景で、禁忌に翻弄される悲しいものたちを一層美しく彩る。長野さんの手によるあやしくおそろしい、そして悲しい3編の草子たち。松本侑子さんの解説もまたよい。2019/01/12

夢追人009

148
長野まゆみさんが描く伝記的で絢爛豪華な時代ファンタジー絵巻の3つの中編お伽草子短編集ですね。この3つの物語の共通項はどうしても男同士の愛・男色趣味が出て来ますのでBL小説が苦手な私は気にかかって仕方ないですが、何とか接吻程度の描写に留められていますので耐えられる範囲内でしたね。『白薇童子』父であり母でもある夜叉・白薇童子と息子の瑠璃若との交情は耽美というより異端、禁忌ですが我慢し許容します。『鬼茨』悪魔の如き狂人・蜜法師を滅ぼして欲しかったですね。『蛍火夜話』双子の運命の逆転。無念の蝉丸が誠に哀れですね。2020/01/26

優希

86
残虐でありながら美しい。禁忌の官能に身を委ねる少年たちの御伽草子にうっとりさせられます。流麗な文章で、華麗で麗しい世界を描きながら救いのないところに淫靡さを感じ、息を飲みました。表紙の妖艶な美しさも素敵です。2015/11/03

★Masako★

84
★★★★ 3編の和風ファンタジー短編集。今まで読んだ長野さんの作品と比べ、なんて哀しく淫靡で残酷なんだろう。少年愛(男色)を軸に、あらゆる禁忌と人の醜い「夜叉」の一面を描いている。それでも夢中になって読めたのは、長野さんならではの描写の素晴らしさ。色とりどりの宝石のような言葉が創り出す世界…特に、これ以上例えようがない程に美しい少年たちと情景の描写には、ため息が出る。[白茨童子/鬼茨/蛍火夜話] 鬼茨のラスト…小凛の覚悟、そしてこの後の酷な運命を思うと涙がこぼれそうになった…。2020/01/23

rico

73
黒繻子の闇を透かし絡み合う白蛇と見えたのは、少年たちの肢体。差し出された盃の満天の星は、血のひとしずくで朱に染まる。その先の地獄の予感。うち震えつつも一息に飲み干さずにはいられない。甘美な毒に全てを任せる恍惚…。ぼんやり生きてる私でさえ、そんな妄想に浸ってしまう。私の知ってる長野さんの世界は、水晶のように透明で息もできないほど静かだった。でもこれは何?美しい言葉に導かれ、たどりついた先は、妖しく淫靡で背徳の香に満ちている。安易な少年愛ストーリーとは一線を画す凄みがある。どこまで行きますか?ちょっと怖い。 2020/01/28

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