新潮文庫
けい子ちゃんのゆかた

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101139067
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

孫娘のけい子ちゃんに買ったゆかたが大きくて着られない。妻が寸法を直すことになったものの、お祭りは今日の夕方。さて、間に合うだろうか?…孫の成長を喜び、庭に来る鳥たちに語りかけ、隣人との交歓を慈しむ穏やかな日々。夜になると夫はハーモニカで童謡を吹き、妻はそれに和してうたう。子供たちが独立し、山の上のわが家に残された夫婦の豊かな晩年を描くシリーズ第十作。

著者等紹介

庄野潤三[ショウノジュンゾウ]
1921(大正10)年、大阪府生れ。九州帝大を2年で終え、海軍に入る。戦後、教職を経て朝日放送に勤め、小説を書き始める。’54(昭和29)年、「プールサイド小景」で芥川賞受賞。平穏な日常の危うさを描き、「第三の新人」の一人として活躍する。’60年の「静物」で新潮社文学賞、’65年の「夕べの雲」で読売文学賞、’72年の「明夫と良二」で赤い鳥文学賞、毎日出版文化賞を受賞。現在日本藝術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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pirokichi

29
『せきれい』他と同じく、山の上の家の夫婦の晩年の穏やかな生活を描く。フーちゃん大きくなったのね、ひ孫さんも二人生まれたんだ…など、自分の親戚に久しぶりに会って、積もる話をあれこれ聞いたような気持ちになった。あれっと思うくらい何度も同じエピソードが出て来るが、それも年をとってくるとよくあること。表題のエピソードでは、裁縫好きで孫のいない認知症の我が母を思って胸が切なくなった。私小説というよりエッセイ?日記?本を開くといつでも鳥声と共に山の上の家があり、庄野さんご夫婦がいて私を迎えてくれる。「ありがとう」2022/09/12

桜もち 太郎

10
庄野潤三おじいちゃん82歳が書いた随筆。穏やかな毎日、感謝感謝の毎日を送るおじいちゃん。楽しみは散歩と庭に来る野鳥観察そしてハーモニカ。おじいちゃんを囲む人たちもあたたかい。さすがにご高齢なのか、同じ内容が繰り返されることはご愛嬌。「豊かな晩年を描くシリーズ」なので全く問題なし。こんなおじいちゃんになれたらいいのにと羨ましくなること間違いない。作者の兄が「星の牧場」を書いた庄野英二だったことを初めて知る。2018/05/24

ちゃんぐ

7
読むスピードが難しいというのが第一印象。80歳のおじいちゃんの書いた随筆、今風に言うとブログ。たくさんの人との関わり合いに感謝、家族に感謝、美味しいものに感謝、自然に感謝、生き物に感謝。正直言って、こころにかなりの余裕と平常心がないと読むのが辛い。仕事でカリカリしてる時なんか絶対ムリ。70歳すぎたら「こんな晩年じゃったら、最高じゃのう~」とか言いながら再読したい。たまに同じこと繰り返し書いてあるのが若干ホラー。借りた本には娘さんのあとがきとやらがなくて、ちょっと残念だった。2018/04/09

みなず

6
最後の“Iさんへ”が、胸にグッときた。おそらく、庄野潤三さんの最晩年の頃。きっと、いつものように坂西さんの教えを受け継がれたことを喜び、長女はいい手紙を出したと、記していることだろう。2015/09/01

せつお

5
再読本 小説というよりエッセイだ  長男次男の勤め先をはっきり書いてしまうところが 長閑な時代だったことを物語る 家族というものはこういうものだと感じさせる文章だった あとがきは 読んでいて涙が出た2021/07/15

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