内容説明
突然の降板を宣言した有名劇作家に代わり、帝国劇場の急場を救うことになった演出家・渡紳一郎。元妻で脚本家の小野寺ハルと共に土壇場で作り上げた舞台は、大女優らの名演で大入りが続く。だが一本の怪電話で事態は一変。「二億円用意しろ。さもなくば大詰めで女優を殺す」。舞台の裏で絡み合う愛憎劇、そして事件は驚愕の幕切れへ―。読者を虜にして離さない華麗なる傑作ミステリ長編。
著者等紹介
有吉佐和子[アリヨシサワコ]
1931‐1984。和歌山生れ。東京女子大短大卒。1956(昭和31)年「地唄」が芥川賞候補となり文壇に登場。代表作に、紀州を舞台にした年代記『紀ノ川』『有田川』『日高川』の三部作、一外科医のために献身する嫁姑の葛藤を描く『華岡青洲の妻』(女流文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
145
演劇界を舞台にしたミステリーである。 水谷八重子を 想起させる 主演女優など、 昭和の演劇界の舞台裏が うかがえて 素直に面白い。 女優殺害予告の電話から 始まるミステリーだが、謎解きよりも 昭和の演劇界の愛憎の模様が興味深い、そんな作品だった。2020/07/26
じいじ
76
6冊目の有吉佐和子、今作は殺人を伴う推理小説ということで、いつにまして期待は高まります。主人公の元夫婦・演出家の男と脚本家の女が、ひょんなことからタッグを組んで帝国劇場の舞台公演という大きな仕事をすることに…。何とか初日の幕は上がったものの、外部に公表していない黒電話に「2億円を現金で…! さもないと主役の命を…」の脅迫が…。この長編、ヤマ場まで少々時間がかかり過ぎた感がありましたが、ストーリーが面白かったので良しとします。初めての有吉ミステリーでしたが、怖さも程よくて意気地なしの爺でも愉しめました。2024/01/21
背番号10@せばてん。
25
【1982_週刊文春ミステリーベスト10_8位】1993年8月17日読了。あらすじは忘却の彼方。(2022年5月25日入力)1993/08/17
Yu。
21
読後はこれらの出来事全てが芝居の一興であるかの様な錯覚に陥らせるという、舞台で生き続けるある一人の女優を追っていく戦中から戦後にかけての因縁渦巻く殺人ストーリーに絡む人物相関図がたまらない。2015/08/13
金平糖
20
絶賛レビューが多かったので期待値が上がり過ぎたのがいけなかったのかも。犯人と動機は推理し易いのでミステリーとしては今一。その上、二人の犠牲者を出した意味はさっぱりわからない。ストーリーと関係ない演劇の台詞が多く、本書はミステリーではなく戯曲を書きたかったのか?光子のモデルの水谷八重子さんを知っていたらもう少し楽しめたのかな?敢えて今回の読書の利点をあげるとしたら、川島芳子と李香蘭が同一人物かと思っていたほどの歴史音痴に、ウィキで調べさせ、少しだけ歴史を勉強させたことかな。2015/12/18