出版社内容情報
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
JKD
155
富小路公子とは何者なのか。彼女に関わってきた27人それぞれが彼女の本当の姿を語るが、人によってその内容は異なるどころか食い違いだらけで真実と虚偽が入り乱れ善人と悪人の区別も曖昧なまま話が終わる。結局なんだったんだろうと思う反面、当初抱いてた「あんな死にかた」がどんな死にかたなのかは気にならず不思議な余韻だけが残りました。真相がわからないまま終わる心地よさ。まああ。なんということでございましょう。2020/05/10
南北
127
美貌の女性実業家富小路公子が謎の死を遂げる。その人物像を巡って27人の人物1人1人にインタビューする形式で書かれている。面白いのは富小路公子はインタビューされた人たちの回想の中で出てくるだけで本当はどういう人物だったかわからないところだ。ある人物は悪女といい、それを裏付けるような別の人の証言もあれば、全く否定するような話も出てくる。富小路公子の口癖が「まああ」という間投詞なのだが、この一言で人物像が浮かび上がってくるところも良かった。40年以上前の作品だが、今読んでも面白いと思う。2021/07/23
小梅
126
子供の頃に見たドラマが忘れられずにいたが、当時は原作とか何も分からずにいました。 高校生になってから書店で見つけ、有吉佐和子を知るきっかけになった作品。 謎の女性の死んだ後、彼女と関わりのあった人々がインタビュー形式で証言していく。2013/07/22
ミッフー
121
いつの時代も何処の場所にも、男も女も関係なく、虚言癖の人っているものです🤔同本はブルジョワ志向強く、金儲けの才覚に恵まれた少し美人な公子が繰り出す虚言、詐欺行為のオンパレードを、彼女に関わった人々がインタビュー形式で回答していく本📖貫井氏辺りは多分こういう構成本の影響を受けたのでしょう✨まぁ、人格って何重にも積み重なった経験や遺伝子から成ってるもの、断片的判断で決めてはダメ❗️分かってるけど、僕は多分公子に騙される男💦「信じられぬと嘆くより、人を信じて泣くほうがいい♫」と、金八先生も歌ってたしね😅2019/06/03
nico🐬波待ち中
120
人の思い込みって本当に怖い。特に惚れた女に対する男達の、自分よがりの願望ともとれる「妄想」は滑稽で何度も苦笑いしてしまった。27名の証言に基づき徐々に顕かになる、謎の死を遂げ世間を賑わす女・富小路公子の物語。様々の立場の老若男女の証言が増える度に、謎はますます深まり彼女の死の真相は藪の中。彼女の真実の姿と死の真相は我々読み手に託された形となったけれど、私には最後の次男の証言が特に印象深いものとなった。本人が全く登場せず証言上の彼女の姿を想像する物語は面白く、深く考えさせられる作品だった。2018/07/28