内容説明
夜ふけのファミリーレストランで、ふと耳にした男女の会話の切れはし。売れ残った缶詰のような、1985年の「阿佐ヶ谷気分」。マーロウみたいな男と寝たいと語り続けた女流作家の思い出…。一見何気ないシーンにも、著者の個性は鮮やかに刻印され、著者と共に同時代を共有した思いに誘われる。「単身都市生活者」の意識の内面をまざまざと映し出した、優雅で感傷的な名エッセイ48篇。
目次
大衆食堂小景
異形の近代
1985年の「阿佐ヶ谷気分」
「坊っちゃん」の哀しみ
「雑誌」に「おける」「プロ」の「仕事」とは「なに」「か」
ロイヤルホストの愛
あるミステリー作家の思い出
ひと握りの乾いた砂
リオ・デ・ジャネイロの2月
映画の貧困、あるいは貧困の映画〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
17
関川夏央さんの若かりし日のエッセイ集。1985年前後に書かれたものです。都市生活者の孤独、ご飯はほぼ外食。原稿を書くために夜中のファミレスを梯子する。アルバイトの思い出、仲の良かった女性たち。感傷的で心に残るエッセイでした。2023/06/12
ぽー
4
学生の頃何故かポルトガルに行きたい時期があって、それは関川夏央のこの本に、”花の革命から数年リスボンはサウダージにあふれた暗い街で…”のような記述があったのに惹かれたからと思い込んでたけど、それは「貧民夜想会」の方だったという事が30年振りくらいに読んで判明。でも冒頭の麹町の大衆食堂の話とか「彼女のオートバイ、彼のヒマ」とか面白いエッセイというのはけっこう覚えてるもんだ。2017/06/06
葉隠
3
再読のはずなんすが...シビレました。(九月になっても)。青春とは何ぞや?と問いかける人には、この一編をそっと手渡したい。幸せな気持ちになれました。関川さん ありがとう😊 2019/09/09
kanu
3
濃厚な昭和感が気持ち良かった。2017/01/23
ギルヲ
2
1949年生まれの著者が、1985~87年に連載したコラム集。ハードボイルドの文体を使用した純文学風コラムといった印象。めんどくさいオッサンだなというのが正直な感想ですね。2015/01/16