内容説明
屹立する高層ビル群を背景に、広い高速道路をマラソンランナーが駆け抜ける―ソウル五輪は現代韓国の一面を鮮やかに伝えてくれた。しかし韓国で暮らす人々について、我々は何を知っているだろう?ハングルの迷路を旅して、出会う人々と語り合い、彼らの温もりと厳しさを拾い集めた瑞々しいルポルタージュ。韓国社会のフィールドワークとして一時代を画した名著、待望の文庫版。
目次
第1部 ソウル・バックストリート
第2部 北緯37度50分の夏
第3部 渡るべき多くの河
第4部 ソウルよ安寧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
motoroid
1
韓国と日本の距離感を知る一冊。書かれた80年代と現在の日韓の距離感も分かる稀有な本でした。日本人という理由でタクシーに乗車拒否され公安に職質された1980年代と韓流の気軽さで立ち寄る2010年代の差に驚きました。伝え聞く当時の雰囲気を、筆者の真摯に伝えたいという思いが熱かったです。筆者の初めての書籍ですが、このあとに出た他の作品を読んで感じた「庶民の目線」がぶれていないことがわかりました。注が多くて読みにくいところもありましたが、読んでよかったです。2013/01/27
パヤパヤ
1
本棚整理の際発見して十数年ぶり再読追加。現在の半島系の日本内外での問題とは、未解決であるため繰り返し再浮上し続ける「難問」となって今日まで残ったことを再確認する機会にもなった。それをこの時代(書かれたのは何しろ昔です)から予習し記録したのがこの先駆的「練習帳」であったいうことで。この本で特筆すべきは朝鮮籍の日本在住者のよるべのなさと来るべきグローバル社会の中での朝鮮籍自他ともの認識と生きるみちを日本人という外部者の立場から眺め示唆した点で今後多くの朝鮮籍者の惑い苦悩、そして飛躍へ向けての提言となっている。2011/04/30
こうさん
1
関川さんの熱さの原点がここに。日本と韓国の今の新しい関係をこの時期にしっかり予測されていることが素晴らしい。2011/04/28
hiratax
0
韓国へ向かい、仁川国際空港から市内へ向かう23時台のローカル列車の中で読む。説教口調に辟易とするも、ハングルを前にして体感する文盲体験は、数日後にローカルバスに乗り味わうことになる。目星をつけていたソウル駅裏のローカル宿が見つからず、夜の底をザックを背負い歩き回ることになった。孤独の体験とともに本書の記憶がある。2016/10/31
N・Toshi
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30年くらい前に読んで、再読したんだけど、両国の関係って大して変わってないんだなと思った。渡航はしやすくなったし、GDPなんかの差も縮小したんだけど、お互いの感情の持ち方は変わらないような。永遠に近くて遠い国なんだろうか。2013/10/27