内容説明
『聴耳頭巾』や『藁しべ長者』など、広く世に知られた話から『猿の尾はなぜ短い』や『海の水はなぜ鹹い』など、古くから語り伝えられた形をそのまま残したものまで。私たちを育んできた昔話のかずかずを、民俗学の先達が各地からあつめて美しい日本語で後世に残そうとした名著。人間と動物たちとの騙しくらべや、長者ばなしのなかに、日本人の素朴な原型を見ることができるだろう。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
これももともとは「日本の伝説」と同じように少年少女向けに編纂されたもののようです。私の年代の人には懐かしい話が数多く収められています。最近はこのような本はあまり読まない子供が増えているのでしょうが、このような話の中には結構幻想的あるいはSF的な話もあります。むかし話がご専門の小澤俊夫先生の解説もあり、また再読したくなります。2023/11/06
月讀命
91
日本は広いなあ。地方地方、津ゝ浦々にこんなに沢山の昔話が存在したとは・・・・。ほとんどが私の知らないお話であり、稀に登場するポピュラーな昔話が出て来ると、ヴァキューンて感じかな。私達が子供の頃から親しんできた昔話や神話、伝承の数々を、民俗学の専門家である著者が日本各地から根気よく収集し、日本のゆかし伝統を後世に語り続け残そうとした名著である。村人や擬人化された動物達の姿があまりに滑稽であったり、鬼、山姥、妖怪の類も頻繁に登場し恐怖心を煽り、昔の子供達の情操教育に一役買っていたのだろうと思う。2012/09/20
扉のこちら側
89
2016年305冊め。なぜすらすら読めるのだろうと思ったら、現代語に加え方言ではないからか。善人は幸せを手にすることが多いけれど、うっかり慢心して残念な結果にもなりうる。あまり欲張らずに生きたいものだ。2016/05/05
財布にジャック
85
なんと昔話が108話も載っていたにも係わらず、知っていたのは「藁しべ長者」と「笠地蔵」の2つだけでした。夏休みに山の中の囲炉裏のあるような古い日本家屋で、おじいさんやおばあさんに語っていただきたくなりました。読み終わって感じたことを簡単に纏めるなら「動物には優しくしよう」「欲張ると酷い目にあう」「山姥怖い」ですね。そして、子供達にこそこの昔話は読み継がれて欲しいです。2012/07/24
molysk
76
昔話と伝説の違いは何か。どちらも民間の口承で伝えられてきた物語だが、伝説は信じられることを欲しているが、昔話は欲していない。言い換えると、伝説は時代、場所、人物を特定するが、昔話は特定しない。むかしむかしあるところに、という出だしと、めでたしめでたし、という結びは、現実と異なる世界の区切りともいえる。一般庶民のつくりあげた文化を研究する民俗学では、民間伝承を尋ねることが重要となる。日本各地で古老から言い伝えを聞いて回り、古き日本の姿を残す昔話をまとめあげた柳田は、日本民俗学の発展に多大な貢献を果たした。2023/08/11