出版社内容情報
落語史の泰斗が描く、話芸400年の軌跡
「落語ブーム」と言われはじめて7、8年。中堅・若手落語家のなかにも、将来が楽しみな逸材が目立つようになりました。落語の前途は安泰に見えますが、果たしてどうでしょうか。
落語は、演じ手だけで成り立つ芸ではありません。いつの時代も、落語には必ず聴き手がいて、聴き手の感覚が変わることで、落語そのものも変わってきました。落語には、「優れた聴き手」もまた、不可欠なのです。
本書では、芸能史研究60年という著者が、戦国末期から現代まで、約400年の落語の歩みを一望。豊富な資料をもとに、「落語のようなもの」の誕生と発展、圓朝による「近代落語」の成立などを平易に解き明かします。さらに、いつも話題を呼ぶ「真打制度」の変遷や、人情噺/滑稽噺の精確な区分、寄席の看板の種類と意味など、長年のファンにも興味深いコラムを満載。笑いを主体としながらも、ただ笑わせればいいというものでもない、伝統を背負った話芸の深みに触れることができます。
昨今のブームで落語にハマった人から、ホール落語の常連さんまで、すべての落語ファン必携、座右の落語史です。
【編集担当からのおすすめ情報】
累計200万部を突破したCDつきマガジン『落語 昭和の名人 決定版』の人気連載(全26回)に、時代別の名人列伝、噺の分類などのコラムを大幅加筆しました。タイトルの「履歴書」はもちろん、四代目桂米團治の名作『代書』から拝借しています。「ラクゴのギレキショーちゅうもんですけど、読んでもらえますでしょうか?」
はじめに――生身の「落語家」から、芸としての「落語」へ
第一章 戦国末期~江戸時代
落語の始まり
◎コラム 落語家の亭号・家号
江戸落語中興期の才人たち――焉馬・慈悲成・可楽・むらく
「一枚看板」とは何か
流派の祖――初代の圓生・志ん生・正蔵
落語の種類――落し噺、人情噺、芝居噺、怪談噺など
第二章 明治維新とその後
「近代落語」の成立
◎コラム 幕末~明治初年の名人――三代目柳橋・初代柳枝・二代目左楽
滑稽噺を落語の柱に――初代圓遊・二代目小さん
明治の落語頭取――初代燕枝・六代目文枝
番付は語る
落語研究会を興した名人たち――圓喬・圓右・三代目小さん
第三章 大正時代~太平洋戦争
激動の落語界
◎コラム 「昭和の名人」を育てたふたり――三代目圓馬・初代三語楼
第四章 戦後~平成
復活からブームへ
◎コラム 昭和の名人――文楽・志ん生・金馬・圓生・正蔵・三木助・小さん
落語家の階級――前座・二ツ目・真打
感想・レビュー
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s-kozy
ハルカ
山中崇之
みつひめ
Yohsuke Fukuoka