出版社内容情報
写真をアートにした石原悦郎の生涯。
本書は、1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォトの創始者、石原悦郎の生涯を追うことで、日本写真史を立体的に描く試みである。石原が写真画廊を始めた頃は写真が未だ雑誌の為の印刷原稿の域にとどまり、オリジナル・プリントに対して、芸術的な価値はまったく認められていなかった。彼はいかにして、今日のように写真家がアーティストとして活動し、写真が芸術作品として社会に認められるような状況を作り出したのであろうか。そのことは表舞台にいる写真家だけを見ていては知り得ないことである。石原がフランスで世界的巨匠であるアンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイらと交流し、その経験を国内作家にも伝えながら、独自に「アートとしての写真」を広めようとした活動は、結果的に植田正治を世界に発信し、荒木経惟、森山大道といった世界的写真家の輩出という大きな果実をもたらす。写真がアートになるために必要なことを総合的にプロデュースした、いわば日本写真史の影の立役者が石原悦郎という人物なのである。石原の眼を追体験できる本書は、日本写真史への理解を深める一冊となる。
【編集担当からのおすすめ情報】
友人作家が集う - 石原悦郎追悼展 “Le bal”
第1部 maestoso 9月3日(土) - 10月5日(水)
第2部 scherzo 10月11日(火) - 11月12日(土)
第3部 adagio cantabile 11月18日(金) - 12月22日(木)
ツァイト・フォト・サロンにて開催
粟生田 弓[アオタ ユミ]
著・文・その他
目次
第1章 日本で最初の写真画廊
第2章 パリで出会った巨匠たち
第3章 オリジナル・プリントの夜明け前
第4章 荒木・森山の時代
第5章 つくば写真美術館の夢と現実
第6章 写真家たちとつくる新しい写真
第7章 コレクションに託された未来
著者等紹介
粟生田弓[アオタユミ]
1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。メディア論を学ぶ。在学中にツァイト・フォトのスタッフとなり、画廊のプレス・リリースや展覧会用カタログなど執筆に関わる業務を中心に行い、その後独立。2010年にファッション・ブランドのRIVORAを立ち上げ現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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