小学館文庫<br> こうふくあかの

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小学館文庫
こうふくあかの

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  • サイズ 文庫判/ページ数 179p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094086089
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

二か月連続刊行「こうふく」二部作第二弾

ふたつの物語が、交互に描かれていく。ひとつは、結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の「俺」の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。もうひとつは、二〇三五年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。
三十九歳の「俺」は、しだいに腹が膨れていく妻に激しい憤りを覚えながらも、その様子を見続ける。そして、自壊し、「俺」はバリ島に向かう。バリ島で溺れかけた「俺」は、ある光景を目にする。帰国後、妻の出産に立ち会う。生まれてきた子の肌の色は黒く輝いていた。
負けることなど考えられない王者、アムンゼン・スコットは、物語の最後、全くの新人レスラーの挑戦を受ける。その男のリング・ネームはサミー・サム。肌の色は黒く、その隆々たる体躯は、チャンピオンを思わぬ窮地に追い込む。リングサイドでは、ひときわ声を涸らして応援する初老の男がいた――。


【編集担当からのおすすめ情報】
「こうふく」2部作2か月連続文庫化にあたり、「こうふく みどりの」に続き、巻末に漫画家・西原理恵子さんとの対談を掲載しています。装画は、「みどりの」に続き、漫画家・いくえみ綾さんにお願いしております。

西 加奈子[ニシ カナコ]
著・文・その他

内容説明

結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。二〇三九年、小さなプロレス団体に所属する無敵の王者、アムンゼン・スコットの闘いの物語。この二つのストーリーが交互に描かれる。三十九歳の俺は、しだいに腹が膨れていく妻に激しい憤りを覚える。やがてすべてに嫌気がさした俺は、逃避先のバリ島で溺れかけ、ある光景を目にする。帰国後、出産に立ち会った妻の腹から出てきた子の肌は、黒く輝いていた。負けることなど考えられない王者、アムンゼン・スコットは、物語の最後、全くの新人レスラーの挑戦を受ける。

著者等紹介

西加奈子[ニシカナコ]
1977年、イラン・テヘラン市生まれ。大阪育ち。2004年に「あおい」でデビュー。ほかに「さくら」「きいろいゾウ」など。「通天閣」で織田作之助賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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さてさて

174
主人公の設定や時代背景も全く異なる「みどりの」と「あかの」という二つの物語。女性の力強さをストレートに感じる「みどりの」に対して、男性の目線を通して実は女性の力強さを描いている「あかの」という二つの物語。この世に『こうふく』を求めない人などいません。しかし、人によって『こうふく』という言葉に思い描くものは多種多様です。これら二つの物語で描かれた主人公たちそれぞれが考える『こうふく』が描かれた物語。『こうふく』とは何だろう、生きていく中で、そんな根源的な問いかけを改めて意識する機会を与えてくれた作品でした。2021/03/01

ケイ

111
この男の器の小ささが滑稽で、それで2008年のパートの方が圧倒的に楽しいのだが……。私はどうしても子供を作る、産むということを、子供をどう育てるかをきちんと経ずにされることに抵抗があり……、西さんとは合わないのかもしれないな。2022/05/21

りゅう☆

103
結婚12年、妻が妊娠した。だが3年間セックスレス。ということは不貞を働いたということだ。争いごとは嫌い、人からは好かれたい。そのために気付かれない努力を惜しまない神保。妻を許すことはできないが、いい夫であるために産みたいと言う妻に同意。だが沸々と湧き上がる苛立ちは隠せない。仕事はとてつもなく忙しい。そして同僚兎島とリングのある飲み屋に足を運び始める。ここでは猪木のDVDが流れ、80歳過ぎてるであろうおばあちゃん二人が恋愛話に花咲かせ…ヘンテコなんだけど心地いい。だが不貞相手が肌の色が違うと分かった時の→2020/10/04

s-kozy

96
誤解を恐れずに言おう。女性は強い、女性は強か、女性は偉大だ。そんな女性が素晴らしい。2016/11/30

hit4papa

83
妻に不倫され子までなされな男と、その三十年後、謎の覆面プロレスラーの闘いが交互に描かれた作品です。二つのストーリーがどこで交差するのか(おそらく誰もが)興味津々で読み進めます。世間体から妻に離婚を切り出せないええかっこしいの主人公。サラリーマンの悲哀と怒りに共感することしきりです。この手の不倫話しはヘタをすると不快感だけなのですが、妻の夫に対する真っ直ぐな愛情がきわだって、きゅんとなってしまいました。その顛末は、三十年後にさらりと判明します。表現しようのない可笑しさに溢れる、西加奈子らしさ満開の作品です。2019/05/13

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