出版社内容情報
四国の貧乏な農家に生まれた丑之助は、十八歳で家を飛び出し、東京へ向かう。たまたま住み込んだ小さな株屋で株の面白さに目覚めた丑之助は独り立ちを決意、愛嬌のある性格と持ち前のカンで、相場師の道を突き進む!
内容説明
愛媛の貧しい農家に生まれた丑之助は、富豪の令嬢・可奈子に手渡した“ガリ版刷りラブ・レター”事件をきっかけに、十八歳で家を飛び出し東京へ向かう。昭和初期の日本橋、たまたま住み込んだ小さな株屋で小僧として働くうち、株の面白さに目覚めた丑之助は、独り立ちを決意、愛嬌のある性格と持ち前のカンで、相場師の道を突き進む!不恰好な体つきに強い田舎なまり。そのうえ金好きで女好き。だけど、どこか憎めない“ギューちゃん”が、カブト町を舞台に大活躍する、ど根性サクセス・ストーリー。書評家・北上次郎がオススメする名作シリーズ第二弾。
著者等紹介
獅子文六[シシブンロク]
1893年横浜市生まれ。本名岩田豊雄。慶応義塾大学理財科予科中退。1922年に渡仏、帰国後『近代劇全集』の翻訳や新劇活動を行い、岸田国士らと文学座を結成した。一方、獅子文六の筆名で『てんやわんや』『自由学校』『娘と私』などの風刺の効いたユーモア作品を多く手がけ、小説家としても活躍した。63年日本芸術院賞。69年文化勲章受章。同年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
37
子供の頃、「ギューちゃん」という愛称や映画のテレビ放映(加東大介主演)で名前だけは知っていた作品。両親は面白いと言っていたが、昔の小学生が株式相場の話なんて面白いと思うはずもない。初読み、600ページ近い本を一気読み。面白いのなんの。描かれた時代は昭和30年。その僅か30年前くらいからの話なのだが、つまり「戦前」が今の生活に密接に繋がっている面白さもある。当たり前の比喩表現として「将校だったのが下士官になってしまった」とか、華族の当主や土地の有力者の表現が「殿様」だったりする。ワクワクしながら次巻へ。2020/05/19
桜もち 太郎
4
獅子文六の長編大作。時代は昭和初期、四国の貧しい農民の丑之助こと「ギュウちゃん」が上京し株で一旗あげるサクセスストーリー。株の勝ち負けで波乱の生活を送るぶんちゃん。一発勝負の集中力と強気の賭で大儲け、そして大損・・・。長い物語だが展開の振り幅が大きく退屈させない。大金持ちの伯爵夫人・有島可奈子との関係も気になるところ。上巻最後には株の恩人が自殺してしまうという意外な展開となる。物語の面白さはさすが文六先生だ。下巻が楽しみ。2014/09/01
まあさん
3
感想は下巻へ!2020/11/03
kobash
3
魅力あるキャラクター達の手に汗握る活躍を描いた物語が痛快で500ページ以上をあっという間に読み終わりました。まさに『牛読』。2018/10/29
check2012
3
いやあ、人生ベスト小説かも。 映画やドラマDVDならないかなあ、スカパーにリクエストもするか。 これに比べたら最近の小説なんて、×××。 獅子文六が文学座をつくったお一人なんて今頃知りました。。。嗚呼2012/08/24