内容説明
第二次世界大戦中、北海道のダム建設に駆り立てられ、多くの朝鮮人・日本人の強制連衡労働者が犠牲となった。その遺骨発掘作業は、今も日韓のボランティアの人々の手で続けられている。本書は、この実話をもとに描かれた社会派推理小説の傑作である。遺骨発掘作業に参加した神沼公一郎は、その現場で腐乱死体を発見する。その死体は、故郷を捨て上京した神沼の元恋人の同僚だった。都会の闇に葬られた若者と交差する時間の闇。事件の背後に見え隠れする、強制労働という負の歴史に関った者たちの存在。事件は時空を超えて、現代の暗部を白日の下にさらけだす。
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年埼玉県生まれ。『高層の死角』(江戸川乱歩賞)、『腐蝕の構造』(日本推理作家協会賞)、『人間の証明』(角川小説賞)など、数多くのベストセラー作品を著し、本格推理小説の世界で不動の地位を築く。さらに、『悪魔の飽食』などのノンフィクションや『平家物語』をはじめとする時代小説から、最近の「写真俳句」まで、その執筆テーマは多岐に亘る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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