小学館文庫<br> もうひとつの核なき世界

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小学館文庫
もうひとつの核なき世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094060737
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0195

出版社内容情報

原爆、帰還兵、原発。核をめぐる真実のルポ

2011年3月。福島第一原発事故により、それまで原発依存の生活を送ってきた日本人は、改めて生活のあり方を問われるようになった。事故から3年以上経つ現在も、故郷に帰れない人々がたくさんいるという現実。それほど、「放射能汚染」の被害が甚大であることを、私たちは日々実感させられている。
本書は、2009年のオバマ大統領の「核なき世界」という演説に端を発した「核」をめぐるルポルタージュ。この演説後もアメリカ政府が年々核兵器関連予算を拡大していること。劣化ウラン弾による被曝の後遺症に悩まされながらも、何の補償も与えられないどころかその声すら無視される帰還兵たちの存在。戦争勃発以降、イラクで増え続けるがん患者や先天性障害児。そして唯一の被爆国として、広島・長崎を中心に反核メッセージを世界に発信し続けながらも、原発輸出に力を入れ続けてきた日本。それらの現実を、著者は丹念に取材しながら、「核」とはいったい何を指すのか、その根本からを考え直すべきだと訴える。
文庫化にあたり、原発事故を経た現在の視点で、著者が新たなメッセージを加筆。いまこそ日本人が読むべき、真実のルポ。

堤 未果[ツツミ ミカ]
著・文・その他

内容説明

“一体あの日私たちが、目にしたものとは何だろう?『もうひとつの核なき世界』を刊行してわずか四か月後の二〇一一年三月一一日。日本では、人類史上最悪の福島第一原発事故が起きた。”(本文より)。オバマ大統領の宣言に端を発したこのルポは、賛美の裏の現実―米国政府による軍事費の拡大、劣化ウランにより被曝した多くのイラク帰還兵たちの存在、世界に反核を訴えながら原発の輸出に力を入れてきた日本の姿―を明らかにした。「核」の定義とは何か。私たちはそこに向き合うべきだと著者は訴える。未曾有の事故を経験した日本人が読むべき、真実のルポ。

目次

第1章 アメリカの被曝者
第2章 戦勝国の歴史教育
第3章 核なき世界VS核ある世界
第4章 日本が起こすチェンジ

著者等紹介

堤未果[ツツミミカ]
ジャーナリスト。国連、米系NGOを経て米国野村證券に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇。以後、日米を往き来しながらジャーナリストとして活動する。『ルポ 貧困大国アメリカ』で新書大賞2009、日本エッセイストクラブ賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

AICHAN

32
図書館本。オバマ前大統領の「核なき世界」という有名な演説にかけた題名の本。「ウラン235の同位体存在比が天然のものより少ないもののこと…ウラン238を大量に含む、原子力発電からの廃棄物」。劣化ウランのことだ。原子力発電の核廃棄物の始末に困った米国が弾頭に使うことを思いつき作ったのが劣化ウラン弾。劣化ウランはれっきとした放射性物質で、イラク戦争などで使われ多くのガン患者を出した。米軍は劣化ウランと病気の因果関係はないと言い張っているが、米軍兵士にも被害は大きく及んでいる。危険極まりないシロモノなのだ。2017/05/26

壱萬弐仟縁

32
何十万という帰還兵が、劣化ウラン被曝によって引き起こされたがんや他の病気の治療を受けるチャンスを奪われた(43頁)。イラク戦争がもたらした最大の悲劇はがんと障害児(47頁)。市場原理導入で公教育から歴史教育が姿を消すアメリカ。受験時期と重なるからと現代史を教えない日本(84頁)。歴史の中の事実を明らかにし、検証し、考察することがその国の未来にとって価値を持つと信じるアメリカ人(97頁)。一人の声から始まったうねりが国を大きく動かしてきたことが何度もあった(194頁)。2015/07/04

リキヨシオ

14
核削減を宣言したアメリカ。核兵器は削減の方向ながら、その他の威力ある最新兵器は開発が続いている。問題なのは「核のゴミ」と言われている劣化ウランを使用した兵器は「核兵器」には入っていない。そして戦争被害国の市民以外のアメリカ軍の兵士すらも劣化ウラン弾による被爆の後遺症に苦しんでいる。しかも彼らは劣化ウランの知識を受けずに戦場に出ているという。戦争で人を減らす戦争には知識というのは無駄らしい。人と人が殺しあう戦争は結局得をするのは指揮する権力者側の人間で現場の人間は様々な被害にあって後遺症に苦しんでいる。2014/08/15

やっさん

13
これも「市民団体」感があるが、ためになった。湾岸戦争の頃から劣化ウランを使用していたのか。各地で劣化ウラン弾を撒き散らし、彼地の住民だけでなく、従軍した兵士達にも重篤な健康被害をもたらし、かつ隠蔽していたとは…。日本は「唯一の被爆国」ではなくなっているのだが、その地位に固執しすぎているという指摘、日本の市民団体は内部分裂で弱体化するという指摘が興味深かった。核兵器と原発、コインの両面と改めて認識した次第。2018/06/03

ryuetto

12
「日本はアメリカの核の傘の下から出るか出ないかで国内がまとまらないみたいですが、核がいいか悪いかという議論だけではいつまで経っても答えは出ないように思います。それよりも現実の安全保障をどうするかについて、もっと国民全体で話し合うべきじゃないですか?」 堤未果さんの本は、基本的にいろんな立場の人にインタビューを取って、それを紹介していくというかたちになっている。で、私が一番、印象に残ったセリフを書き出してみた。核を持たない国キューバ出身の彼の言葉。私も核は絶対にダメだと思っているけど、ではどうすればいいのか2014/12/13

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