北緯43度の雪―もうひとつの中国とオリンピック

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093897402
  • NDC分類 784.3
  • Cコード C0095

出版社内容情報

北緯43度の雪

1971年、大陸中国と「ふたつの中国問題」を巡り国連から脱退した台湾。総統・蒋介石は翌年の札幌オリンピックに8人のスキー選手を送る。この大会に「中華民国」の名を刻めば、中国に傾いている国際社会を再び引き戻せる。そう考えた蒋介石が急遽つくらせた、いわば形勢逆転の「最終兵器」だった。しかし、集められたメンバーの大半が雪さえ見たことのない未経験者。国家は彼らに告げる。「お前らに勝利を求めていない。とにかく滑った記録を残せ!」。そして、彼らは国家の使命を背負い、札幌の最大傾斜40度の急斜面に挑んでいく。札幌後――。政治に翻弄される人生はその後も続くことになる。オリンピックでの国家名称を巡り米国で裁判を起こす者。また中国に移り住み、北京オリンピックの聖火リレーを見ながら複雑な心境を吐露する者……。台湾という国が宿命のように背負い続けてきた苦難と激しい政治的抗争の爪痕。それはオリンピックの歴史にも刻まれていた。
札幌オリンピックから40年。初めて明らかにされる「南国スキーヤー」たちの、可笑しくも切なく、誇らしい、奮闘の記録。本作は第18回小学館ノンフィクション大賞を受賞した。


【編集担当からのおすすめ情報】
第18回小学館ノンフィクション大賞受賞作品


河野 啓[コウノ サトシ]
著・文・その他

内容説明

1971年、大陸中国と「ふたつの中国問題」を巡り国連から脱退した台湾。当時の総統・蒋介石は翌年の札幌オリンピックに8人のスキー選手を送る。この大会に「中華民国」の名を刻めば、中国に傾いている国際社会を再び引き戻せる。そう考えたいわば形勢逆転の「最終兵器」だった。しかし、メンバーの大半が雪さえ見たことのない未経験者。彼らは、文字通り「へっぴり腰」で、札幌の最大傾斜40度の急斜面に挑んでいく。札幌後―。政治に翻弄される数奇な人生はその後も続く。オリンピックでの国家名称を巡り米国で裁判を起こす者。中国に移り住み複雑な心境を吐露する者。台湾という国が宿命のように背負い続けてきた苦難と激しい政治的抗争。それはオリンピックの歴史にも刻まれていた。第18回小学館ノンフィクション大賞受賞。

目次

第1章 台湾初のスキー選手「世界大運動会」へ
第2章 王正徹さん「とにかく滑った記録を残せ!」
第3章 SAPPORO1972青春の花園と悪魔の旗門
第4章 陳雲銘さん オリンピックという仕事
第5章 梁仁貴さん 裁判と幻のオリンピック
第6章 黄維中さん 外省人が語った中国の悲しみ
第7章 出会いは突然、運命的にスキーの先駆者と台湾チーム
第8章 葉永興さん 台湾スキー界の今と未来
第9章 合歓山から世界へ「問題は解決するしかない」
最終章 オリンピックへの祈り 札幌とバンクーバーの間に

著者等紹介

河野啓[コウノサトシ]
1963年1月23日、愛媛県生まれ。北海道放送勤務。高校中退者を全国から受け入れている北星学園余市高校を長年継続取材。「学校とは何か?」(放送文化基金賞本賞)、「ツッパリ教師の卒業式」(世界テレビ映像祭推奨)など同校をテーマにしたドキュメンタリーが全国放送され高い支持を得る。2011年、『北緯43度の雪―もうひとつの中国とオリンピック』で「第18回小学館ノンフィクション大賞」大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くれの

9
札幌五輪をモチーフに臺灣史を学べる絶好の一冊となりました。極力平易に事実を描きながらも感情移入してしまう著者の優しさ溢れるノンフィクションです。必ずや東京五輪で「中華台北」の国旗はためく入場行進を観たいです。2021/03/11

越部社長

2
2つの中国という国際政治に翻弄された台湾の元五輪代表スキーヤー達を、北京オリンピック開催のタイミングで「再発見」したルポ。「五輪」と「政治」というと重苦しい話になりそうだが、「国威発揚」の使命を課された台湾の選手が、どこにでもいそうな青年達であるがため、終始暖かい、懐古的なトーンで当時のことが語られている。しかし、そんな彼らも国のため、あり得た理想の未来から別の人生の選択をしているのである。インタビューを中心とした軽妙な文書でありながら、具体的かつ重要なテーマを正面から扱っている、ノンフィクションの佳作。2012/07/08

みろ

0
亜熱帯の台湾にスキー場があることを初めて知った。ジャマイカのボブスレーチームとは違い、国を代表する重圧が強かったことがよくわかった。2012/03/23

kozawa

0
1972年札幌オリンピック(冬期)国際的な台湾から大陸政権重視へシフトするなかで日本のコーチに学んで台湾からスキー選手として五輪に出た人たち。そして彼らの現在。面白く読んだ。2012/03/29

長老みさわ/dutch

0
1972年。第11回冬季オリンピック札幌大会。中華民国より8名の選手がスキー競技に参加していた。 彼らの使命は完走して記録を残すこと。ゴールすれば記録が残る。 この前年、台湾は国連を脱退していた。 台湾が「チャーニーズ・タイペイ」の名前でオリンピックはじめ世界のスポーツ大会に参加している事は知っていたし、それに「二つの中国」に纏わるなんだかんだがあるのは知っていたけれど、その「なんだかんだ」の中身は知らなかった。そもそも未だに政治的には日本と台湾が「国交断絶」状態にあるというのもこの本で初めて知った。 2012/01/28

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