出版社内容情報
数百年もの間、人はこの世にいない青いバラを求め、試行と挫折を繰り返してきた。その“幻の花”が、最先端バイオ技術によってついに現実のものになろうとしている…。“科学と人間”の関係性を問う書き下ろしノンフィクション。
現在、最先端バイオの分野で、遺伝子組換えによる「青いバラ」の研究開発が進んでいる。青い色のバラは、ギリシア・ローマ神話の時代から「この世にないもの」とされ、多くの育種家たちがその作出を夢見ては挫折を繰り返し、辞書にまで「不可能」と定義された“幻のバラ”だった。数百年もの間、人々はこのバラにどんな想いを抱き、何を求めてきたのか?バイオ・テクノロジーによって現実のものになろうとしている青いバラは、人類の夢の実現ではなく、夢の喪失ではないのか? そもそも、それは本当に美しいのだろうか…。著者は、厖大な資料分析と多数の育種家・研究者への取材を通じて、“科学と人間”の関係性に迫っていく??。 本書は、小学館ノンフィクション大賞『絶対音感』著者の受賞後第1作となる書き下ろしノンフィクションです。
内容説明
幻のバラ、不可能の花と言われてきた青いバラが、遺伝子組換えによって実現間近だという…。大ベストセラー『絶対音感』の著者が満を持して世に問う待望の書き下ろし。
著者等紹介
最相葉月[サイショウハズキ]
1963年生まれ。神戸市出身。関西学院大学法学部法律学科卒業。会社勤務を経て、ライターとして各雑誌・新聞等で活動中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
31
2004年にサントリーが作った青いバラ、アプローズ。 この本はその3年前に書かれたもの。 昔は青いバラ=不可能なこと、だったのですけど。2020/10/23
ヤヤネヒロコ
2
「絶対音感」のときも思ったのだけれど、この方の本はいわばレポートなおに、文章が綺麗で、世界がひどく詩的なものでできているように感じてしまう。そこが好き。エッセイも好き。2013/03/29
朱音
2
現在の遺伝子操作技術があれば出来るんじゃないの?というような気持で読み始めたのだがなかなか解決できない問題があるらしい。…単にその色素を作らせる遺伝子を組み込めばよいと言うものではないというのだ。こういう「技術的な」話と、古来より青いバラを求めてきた人々の話、そしてバラの品種改良に努めた一人の老人との対話を交えて話が進められてゆく。…外国の人名が多いのとバラの品種名に知らないものが多いのでちょっととっつきにくいけど。「青いバラが出来たとして、それが美しいと思いますか?」という問いかけにはずしんときた。2002/11/18
こねこ
1
課題のために借りた本だったけど普通に読み物として面白かった。しかし専門用語が散りばめられてるのでけっこう難しい…。不可能の象徴だった青いバラ。それを巡る物語…というか事実。作者は淡々と事実を述べられているけれど…私は少し怖くなった。 バラにまつわる歴史はとても興味深く面白かったけれど。2013/01/22
eye
1
★★★初読、処分。長年の積ん読本、寝る前に少しずつ読み進めたが、中々時間がかかりました! 青いバラだけじゃない、薔薇にまつわる古今東西、人間の織り成す物語。 日本や中国、東洋が発祥の薔薇、 ヨーロッパから逆輸入された薔薇が日本でどう根付いていったのか、 ミスターローズ、鈴木省三氏という存在。 開拓使官園など、文明開「花」あたりが一番興味深かった。 バイオなんかはさすがにちょっと眠たかったっす(笑) 2011年現在、コバルトブルーの薔薇は、まだ存在していない。2011/10/16