メロドラマ・オペラのヒロインたち

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メロドラマ・オペラのヒロインたち

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093884501
  • NDC分類 766.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

オペラはメロドラマだ!

『オペラの運命』『西洋音楽史』など、クラシック界では異例のベストセラーを放ってきた著者の最新作。NHK Eテレ『スコラ 坂本龍一音楽の学校』出演でも知られる著者だが、軽快な語り口で、まったく退屈せず、初心者でも一気に読めるオペラ入門書である。
内容はワーグナーの楽劇から映画『ゴッドファーザー』まで、硬軟にわたり約20作品を紹介。音楽史に沿って、ヴィオレッタ(「椿姫」)ブリュンヒルデ(「ワルキューレ」)トスカ(「トスカ」)らオペラ黄金時代のヒロインを中心に、ハリウッド映画の金字塔であるスカーレット(「風と共に去りぬ」)、戦後日本の象徴ともいえるマドンナ(「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」)まで、“女神”(女主人公)の魅力をたっぷり解説している。ひいてはAKB48のアイドル論に至る分析力は圧巻だ。
著者によると「メロドラマ」の語源は「メロディ」+「ドラマ」で、もともとは音楽劇=オペラを指す。本来オペラとは「大衆が喜ぶたわいない恋愛劇を音楽で盛り上げたもの」であり、映画やTVドラマと同じように「小難しく構えず、いかに素晴らしい音楽を味わい尽くすか」、これこそがオペラの鑑賞術に尽きるのだ。

【編集担当からのおすすめ情報】
オペラは難しいと思っていませんか? オペラは筋書きのないドラマ。オペラを観たことのない方の入門書としてだけでなく、オペラ通の方にはエッセイとしても楽しんでいただける一冊です。おおの麻里さんの小悪魔イラストにもご注目ください!

<目次>

はじめに 3

第一話 メロドラマとは何なのか? 9

第二話 ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作『ノルマ』 21
甘美で憂鬱な巫女のメロディー

第三話 ジュゼッペ・ヴェルディ作『ラ・トラヴィアータ』 35
ヴィオレッタは「娼婦」なのか?

第四話 ジュゼッペ・ヴェルディ作『イル・トロヴァトーレ』 47
ロマの老母の絶叫

第五話 ジュゼッペ・ヴェルディ作『アイーダ』 63
王女の誇りと決めゼリフ

第六話 リヒャルト・ワーグナー作『ニーベルングの指環』 77
愛は世界を救う

第七話 リヒャルト・ワーグナー作『トリスタンとイゾルデ』 91
実人生の中のメロドラマ

第八話 ジャック・オッフェンバッハ作『ホフマン物語』 103
人形と女流芸術家と高級娼婦と

第九話 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作『エフゲニー・オネーギン』117 清純派ヒロインの条件

第十話 ヨハン・シュトラウス2世作 喜歌劇『こうもり』 129
キュートな女中は女優志願

第十一話 ジャコモ・プッチーニ作『トスカ』 141
ラ・トスカ――ラ・カラス

第十二話 ジャコモ・プッチーニ作『トゥーランドット』 151
トゥーランドット・シンドローム

第十三話 W.A.モーツァルト作『コジ・ファン・トゥッテ』 161
モーツァルトにメロドラマ・ヒロインはいない

第十四話 リヒャルト・シュトラウス作『ばらの騎士』 171
喜劇と節度ある有閑マダム

第十五話 リヒャルト・シュトラウス作『アラベラ』 181
機微がわかる優雅な「大人の女」

第十六話 エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンコルド作『死の都』 191
ノスタルジーと幻影

第十七話 デヴィッド・リーン監督 『逢びき』 203
ピアノを弾く令嬢の恋愛ごっこ

第十八話 ヴィクター・フレミング監督 『風と共に去りぬ』215
ウィーンからハリウッドへ

第十九話 フランシス・F・コッポラ監督『ゴッドファーザー』 227
移民たちの歌

第二十話 メロドラマと風景と音楽と 239

おわりに 252

内容説明

『椿姫』から『ワルキューレ』まで、メロディー+ドラマ=メロドラマの系譜を女主人公からひもとく、名作オペラ入門。

目次

メロドラマとは何なのか?
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作『ノルマ』 甘美で憂鬱な巫女のメロディー
ジュゼッペ・ヴェルディ作『ラ・トラヴィアータ』 ヴィオレッタは「娼婦」なのか?
ジュゼッペ・ヴェルディ作『イル・トロヴァトーレ』 ロマの老母の絶叫
ジュゼッペ・ヴェルディ作『アイーダ』 王女の誇りと決めゼリフ
リヒャルト・ワーグナー作『ニーベルングの指環』 愛は世界を救う
リヒャルト・ワーグナー作『トリスタンとイゾルデ』 実人生の中のメロドラマ
ジャック・オッフェンバッハ作『ホフマン物語』 人形と女流芸術家と高級娼婦と
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作『エフゲニー・オネーギン』 清純派ヒロインの条件
ヨハン・シュトラウス二世作 喜歌劇『こうもり』 キュートな女中は女優志願
ジャコモ・プッチーニ作『トスカ』 ラ・トスカ―ラ・カラス
ジャコモ・プッチーニ作『トゥーランドット』 トゥーランドット・シンドローム
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作『コジ・ファン・トゥッテ』 モーツァルトにメロドラマ・ヒロインはいない
リヒャルト・シュトラウス作『ばらの騎士』 喜劇と節度ある有閑マダム
リヒャルト・シュトラウス作『アラベラ』 機微がわかる優雅な「大人の女」
エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト作『死の都』 ノスタルジーと幻影
デヴィッド・リーン監督『逢びき』 ピアノを弾く令嬢の恋愛ごっこ
ヴィクター・フレミング監督『風と共に去りぬ』 ウィーンからハリウッドへ
フランシス・フォード・コッポラ監督『ゴッドファーザー』 移民たちの歌
メロドラマと風景と音楽と

著者等紹介

岡田暁生[オカダアケオ]
音楽学者。京都大学人文科学研究所教授、文学博士。1960年京都生まれ。大阪大学大学院博士課程単位取得退学、大阪大学文学部助手、神戸大学発達科学部助教授を経て、現職。『オペラの運命』(中公新書・2001年度サントリー学芸賞受賞)、『西洋音楽史』(中公新書・2005年)、『ピアニストになりたい!』(春秋社・2008年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『音楽の聴き方』(中公新書・2009年第19回吉田秀和賞受賞)ほか、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ムーミン2号

8
「オペラを観るために必要な勉強」はあまりないよ、ハリウッド映画とそう変わらないものだから、というスタンスで名作オペラの数々を紹介してくれている。要するにメロドラマなんだ、という切り口で、オペラを楽しむためのハードルを随分下げてくれている。音楽的素養も知識も乏しいワタシのような一ファンにはありがたい書で、もっと楽しんで観て、聞けばいいんだと思えるようになった。ただ、本書ではオペラのことばかりが書かれているのではない。19世紀のヨーロッパ社会における階級制のこと(貴族制も含む)などへの言及がある。2023/08/27

trazom

3
オペラを、芸術ではなく娯楽として捉えた軽いノリの作品。だから、「勉強になる」とか「考えさせられる」ことは何もなく、メロドラマとヒロインという二つのキーワードでの他愛ないおしゃべりを聞かされている気分。「オネーギン」のタチャーナは吉永小百合、ヴェルディの本領は任侠モノ、ワーグナー・ヒロインにはセックス・アピールが全くない、なかなか決め球が出てこないドイツオペラが蟻で、気前よく最初から大盤振る舞いして息切れするするイタリアオペラがキリギリスとか、言ってみれば与太話の連続。でもまあ、これが中々面白いんだなあ。2016/04/22

NyanNyanShinji

1
メロドラマ・オペラの嚆矢としてベッリーニ作曲『ノルマ』を挙げ定番のヴェルディ『椿姫』、プッチーニ『トスカ』などを経て、コルンゴルト『死の都』を境にオペラの後継である映画作品「風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』そして『男はつらいよ』で本書は閉じられる。決して作品論やあらすじ紹介にとどまる事なく、時代背景や当時の文化論と対照させる岡田氏の手法は,本書でも鮮やかである。2023/03/17

Ikuo Kobayashi

0
著者は思い込みが激しい感じでついていかれない部分も多いですが、オペラはメロドラマだとの主張は大いに共感します。オペラシーズン、早く始まらないかな。2016/09/03

つばき

0
しかるに、どの時代にも女性の願望を表しているのがメロドラマ。清く美しいヒロインたちよりも、魅せる脇役達。女性の願望は男性目線だとみんなステレオタイプのつまんない女と言われてしまうのですね、淋しいけれども納得です。紹介されている音源、なかなか聞くのがか難しそうなのもありますが、探してみたくなりました。2016/01/18

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