内容説明
国の安全と引きかえに何が失われるのか?戦前・戦中の治安立法の制定過程から有事法制・共謀罪の危険を読み解く。
目次
序章 蘇る監視社会
第1章 有事法制と現代版総力戦体制
第2章 戦前の国民監視システム
第3章 軍機保護法制の変遷と防諜政策の展開
第4章 戦時下の防諜機構と国防保安法の成立
第5章 国民保護法という名の“国民監視・動員法”
終章 国民保護法は何を“保護”するのか
著者等紹介
纐纈厚[コウケツアツシ]
1951年岐阜県生まれ。1983年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。山口大学人文学部教授。政治学博士。専攻は、日本・アジア近現代政治・軍事史、現代政治論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
16
著者は「1999年」を戦後史のターニングポイントと位置づけていると言う。それは日本が軍国主義へと大きく舵を切った満州事変こそ戦前史のターニングポイントであったと同じようにである。この1999年には、(集団自衛権を可能ならしめた解釈改憲並びに安保法制の起源とも言うべき)周辺事態法をはじめ、(国民の精神・思想動員を図る)国旗国歌法、(秘密保護法の起源とも言うべき、更には将来、提出されるであろう共謀罪に繋がる)盗聴法、(マイナンバー法の起源とも言うべき)住民基本台帳法等の法律が成立した。小渕内閣の時の出来事だ。2016/02/01
Uたロー
0
基本的人権を始め、様々な権利や自由を保障する主体は国家である。国家という後ろ盾がない人々が権利を行使することができず、自由を謳歌できない様は、戦争等で難民となった人々を見れば一目瞭然だ。故に国家が有事の際は、逆説的ではあるが、個人の権利や自由を制限してでも国家存続が優先されるべきである。2014/01/05