出版社内容情報
日米経済交渉でも話題になった“ダンゴウ”、本来は衆知を集めて一致点を見い出す庶民の知恵であった。それがなぜ悪しき慣習に変わったのか。独特の贈答習慣、タテマエとホンネなど日本人の行動様式の過去・現在を解明する。
官僚による汚職、収賄事件や大手ゼネコンの談合事件は、現代の世相の際立った特徴である。本巻は、この事態を生みだしている日本文化の奥底について考えようとするものである。 談合を歴史的にみると村寄合いから生まれたものであり、今、一般的に使われている「世間」という用語の原義はムラ共同体内部をさすものだった。 ムラ＝「世間」の問題を掘り下げていくと現在の日本的人間関係を形づくっているさまざまな問題がみえてくる。こうした基本をおさえ、現代の事象にアプローチする。 ムラ、都市の談合、“永田町ムラ”といわれる国会の実態について論考する、贈答習慣については、外国人研究者による日本のバレンタイン・デーの特質と首都近郊のムラの交際と贈答の変化をデータで分析する。 現代の談合の実態をみると、根回し、全会一致制など、ムラの手法をそっくり引きついでいる。しかしムラの場合は村内融和のためだったが現代のそれは金と権力にかたよりすぎている。日本的人間関係の過去・現在の分析を通し今後を考える素材になればと考える。
内容説明
日本的人間関係の深層に迫る！独特の贈答習慣、タテマエとホンネなど日本人の行動様式の過去・現在を解明する。
目次
総論 「世間」の中の日本文化（宮田登）
世間と社会―ヨーロッパの場合（関一敏）
談合の民俗（ムラの談合（岩本由輝）
マチ（都市）の談合（佐高信））
“永田町”の民俗文化（永田町の民俗―日本社会の支配構造（多田実）
ムラと永田町と金丸信（杉本仁））
タテマエとホンネ（山村の暮らしから―東北・秋田（野添憲治）
島の生活から―平島（稲垣尚友））
お役所という世間（宮本政於）
町内会と人間関係（山本質素）
日本の若者たちのバレンタイン・デー（ハルドル・ステファンソン）
ムラの交際と贈答の変化（むらき数子）
