出版社内容情報
生命操作、高齢者切り捨て…。現代の生と死のかたちを通して、変貌する死生観の背景を探る。主な執筆者=山口研一郎、森栗茂一、吉岡忍、友田陽子、萱野茂、野里洋、他
体外授精、遺伝子診断、臓器移植などの生命操作をはじめ、予見的診断により命の期間までが予測されるようになった現代では、生から死までがプログラムされる。 一方、従来の共同体が崩壊するなかで、出産や臨終の場面は生活の場から消え、子育ても地域社会から個人へ、そして高齢者も社会から切り捨てられようとしている。さらに、葬儀さえも商品化され、私たちから生と死の実感はますます遠のき、あの世とこの世の境は不鮮明になりつつある。 効率化をめざす社会では人間までもが均質化をもとめられ、親たちは子どものために人生コースを予約し、その親の期待を背負いながら子どもたちは生き急ぐ。そして効率化社会のシステムから降りようとするとき、子どもたちは校内暴力や家庭内暴力、いじめ、自殺、というかたちの逆襲を始め、おとなたちは自らの価値観を守ろうと、わが子を殺すまでになる。 人々から生と死の実感を失わせたものは何であったのか。アイヌや沖縄の人々の死生観や、さまざまな生と死のかたちを通して、現代社会の発展、進歩がもたらした死生観の変容を探る。
内容説明
変貌する死生観現代人にとって生とは、死とは!生命操作、人生を生き急ぐ子どもたち、そして高齢者切り捨て…生から死までがプログラムされる現代の生と死の在り方を問い直す。
目次
総論 不鮮明になるあの世とこの世
授かる子からプログラムする子へ
人間を忘れた現代医療
水子供養はなぜ流行る
子どもの死生観
現代の子殺し
死別後の悲嘆への理解と援助
この世の地獄
商品化される死の儀礼
アイヌの死生観の変容
沖縄の死生観の変容
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有機物ちゃん