出版社内容情報
原発事故が起こったあと人はいかに生きるか
真っ白な雲の浮かぶ青空に鳴りわたったサイれんが、原発事故発生によるパニックの始まりでした。人々は、目には見えない放射能の恐怖から先を争って逃げまどいます。社会的な大混乱と、肉体の疾患が、人間から理性を奪います。未曽有の出来事の中で14歳の少女が何を見、何を感じたかが描かれています。『最後の子どもたち』の著者がチェルノブイリのあと執筆した衝撃の近未来小説です。
内容説明
真っ白な雲の浮かぶ5月の青空に鳴りわたったサイレンが、パニックの始まりでした。人々は、目には見えない放射能の恐怖から先を争って逃げまどいます。社会的な大混乱と、肉体の疾患が、人間から理性を奪います。これは、未曽有の出来事の中で、14歳の少女が何を見、何を感じたかを描いた小説です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
44
パウゼヴァングだから戦争モノと思い読みはじめると・・なんか違う。チェルノブイリ原発の告発?いやハンブルグとか出てくる・・文字を追い続け、近未来小説と分かる。西独の小さな村で起きた大規模の原発事故、被害の大きさは不明の時点で主人公ヤンナの目を通した時間が描かれる。それは施政者、関係者でもなく一般人でもない14歳の子供の語り。直線的。しかし、避難の中で眼前で車に轢かれた弟を救う事も出来ず居所を転々とする中での苦悩・葛藤の情景。作品のラストまで再会叶わなかった両親の言葉を反芻する場面が出てくる。色々な大人がいる2021/11/27
くれの
3
読みながら私達日本国民はヒバクシャだったことにはっと気付かされました。淡々と描かれるみえない雲の恐怖がいま身近な現実に起こってしまったことなのかと苛まされます。社会的弱者の苦しみは物語の域を超え胸が痛みます。2016/03/09
you
2
(過去)こちらもどうにも手放せなかった本。読み返しは二桁年数単位でしてないのに、未だに内容を覚えている。読後に某原発に見学に行く機会があったけど、その時の添乗スタッフがひたすら「安全」「クリーン」と繰り返していたのも覚えていたりする…。
すずえり
2
チェルノブイリの事故直後に出版されていた本書。現在は文庫も出ています。 映画化もされてDVDを観ましたが、小説のほうがやはり深みがありました。 「知らなかったとはもう言えない」という実感を伴う小説が、こんなにも前に出版されていたなんて。解説には日本の原発事情にも触れられていて、いままで関心がなさすぎだったことをまた実感。 ラストが気になって、一気に読めます。2013/07/18
秋津
2
今、読むべき本だと思うし、とても良かった。「みえない雲」という題名で現在は出版されているようですが。ラストが好きです。2011/05/25