出版社内容情報
必見のシリーズ連作・第2弾!!
「あなたを愛しています」・・・世を儚む少女に、黒いマントの男はそう伝え、少女を救う。男は歴史の舞台にたびたび現れては去って行く。オイディプス王、カトリーヌ王女、慈善家の貴婦人・・・。男が彼らに告げたメッセージとは!?
表題連作「メッセージ」ほか、単行本初収録作品を含む「ここではない★どこか」シリーズ待望の第2弾!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
32
ブラッドベリ、ヘッセ、コクトーが著者の自家薬籠中にあると知ってる。この短編集からはシェイクスピアと芥川龍之介を見出した(前者は明白、後者は感覚)。オイディプスの擁護。未来を知る行為の功罪。二周目の人魚姫。愛なのに、いや愛という使い勝手のいい概念に誠実でありたいが故の毒とシニカル。この苦みを誰もがいずれ知る人生の味さと俯瞰できる貴方は真っ当な大人。尻がむずむずして他人事じゃないなら子供。自分はどちらか。考える前にまず目の前の河を渡ろう。好きなものや人に真摯でいよう。見返りや結果など先の話。メッセージ確かに。2018/06/16
あたびー
31
オイディプスなどに片手が鳥の脚で黒髪の男が、愛していると言ったりあなたは悪くないと言うメッセージを伝える連作。それから同じ大学の夜羽根君に恋心を抱く舞ちゃんの連作。あと大学の生方先生のスピンオフエピソード。萩尾作品では現代劇でも登場人物は流行など追わず完全に萩尾オリジナルとでも言うような服装をしているので、舞ちゃんがスマホで写真を見せるシーンで初めて最近の作品なのだと知りました。つまりテーマが普遍的なんだよな〜。2021/04/27
二戸・カルピンチョ
22
不思議な世界をどうしてここまで萩尾望都は読ませる事ができるんだろう。それは誰もが迷い込んだ覚えがある世界だからだ。その体験を上手く表現出来ずに抱え込んでる私や、他の誰かに代わって描いてくれているみたいだ。この世界は愛を中心にして、悪意や汚れが渦巻いているのだろうから、萩尾さんが生きて描き続けてくれる限り、題材は尽きることはないだろう。2016/06/24
こぽぞう☆
19
人間になる。それが共通のテーマかな?萩尾望都さんの安定した画力とストーリーテリング。不安定な世界を繫ぎ止める。2016/11/20
マリリン
17
偶然なのか必然なのか、「花嫁」までは直前に読み終えたオイディプスの物語だった。因縁は呪いは宿命は世代を超えても受け継がれるのか。シェイクスピアの作品が脳裏をよぎった。萩尾望都の美しい絵と共に作品を楽しめた。「海と真珠」まではほろ苦い思い出がかすかに甦るような内容。肉体を使った芸術表現が好きなので特に楽しめた。最後の「しまうまのQ&A」は色々な読み方ができるような気がする。2018/07/04