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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
124
細かい描写に遊び心があったりしてちょっと笑えたりもする。すごく現実的な部分と非現実的な部分を併せ持った不思議な読後感。東京に住むさまざまな人たちの日常のほんのひと欠片を、あえて雑踏の中にパシャパシャと振りまいた感覚。見覚えのある風景がたくさん登場したのは嬉しかったけれど、共感できるところがほとんどなかったのは珍しい。なのになぜか記憶に残ってしまう。これはすごいことだと思う。そしてなんだか無性に悔しい。 2014/06/20
KI
35
明けない夜があってもいい。終わらない世界があってもいい。2020/02/17
ソラ
33
タイトルと表紙に魅かれて購入。浅野にいおさんの絵はそんなに好みじゃないはずなのにしっかり作品世界に引き込まれる不思議な感覚。この作品は短編集ということみたいだけどゆるくすべて繋がっているような感じ。『日曜、午後、六時半』が特に良かった。2013/10/13
ちぇけら
26
再読。明けない夜はないなんてそんなつまらないことはとうのむかしに知っていて、けれどそんなことは知らないままずっと夜のなかで不幸にひたって、性器が大きい以外に取り柄はないがイケメンなボーイフレンドに頭を撫でられていたかった。過去のわたしが絶望していた未来を今まさに生きていて、そのことをもう恨んではいなくて、今ならわかる、この先にわたしたちを待ち受けているのは希望でも絶望でもない、ゆるやかな死だということを。それはまるで朝焼けのようで、そんな空にはきっと、世界の終わりのような顔をしてカラスが啼いていることを。2020/11/01
春が来た
25
部屋の片隅に置かれている季節外れの毛布。罪悪感の塊のような存在に訳もなく顔を沈める。沈んでいく重さに、あぁ生きてるんだなって感じる。そんな風に感じるのは大人になったからだろうか。停滞しているだけなのか。生きていく気だるさのような、気だるさの中に生を感じるような、そんな短編集は、読んだら元気になるわけでも鬱蒼とするわけでもない。言葉にすればするほど遠ざかってしまいそうな、なんとも言えないこの絶妙な読み心地がとても好きだ。2021/05/30