出版社内容情報
どんなに貧乏でも明るく生きるための絵本。ぼくんちにはとうちゃんがいない。かあちゃんもいない。でもぼくらは生きている。にいちゃんとぼくとで生きている。毎日がとっても大変だけど、きっと明日も楽しく暮らせると思う。絶対そう思う。
▼第1?38話 ●登場人物/二太(本編の主人公)、一太(二太の兄)、おねえちゃん(二太の姉)、こういちくん(一太の兄貴分)、みきおちゃん(おねえちゃんの彼氏) ●あらすじ/「生きていく中華料理屋」のおかみさんが死んだ。働きものの漁師、松じいちゃんが死んだ。たぶん、こういちくんの父親だった人だ。そして、こういちくんのねえちゃんが死んだ。みきおちゃんは、飯場でみんなの給金を盗んだのがバレて逃げた。一太にいちゃんは町を出ていった。そしてぼくも、シンセキのじいちゃんにもらわれていくことになった。じいちゃんの小さな漁船にのって入江をまわると、いよいよぼくの町が見えなくなった。でも、ぼくは知ってる。こういう時は笑うんだ…。 ●本巻の特徴/借金山盛り、不幸てんこ盛りのお話だけど、奇妙に透明な読後感。オールカラーで繰り広げられる、不思議なサイバラワールドもついに本巻で完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
53
バイトの娘がシンナー中毒で店に放火し、店主はメチル焼酎飲みながら炒め物をしている中華料理屋。また、生まれた時から騙され続けた女達が最後に辿りつくソープランド「完熟」の話。ストーリーは苛酷を極めるようだが、何か今までとトーンが違う。弱さを見せなかったこういちの情感溢れるモノローグに、一太・二太兄弟の目から見てきた作品世界が動き始めたように思っていると、やはり一太は苦労しながら独立し、二太は漁師のじいちゃんの舟で旅立っていく。家族が別れ別れになるのは寂しいけれど、最後の二太の笑顔に救われて幸せな気分になった。2018/06/04
林 一歩
23
二日酔いの朝に再読。こういちくんのお姉さんが亡くなった以降の挿話は涙なしでは読めず弱った。うまくオブラートに包んではいるが「部落差別」というデリケートなテーマで、無頼と叙情性が共存する稀有な作品。これはもう文学である。2014/05/31
ぐっち
20
何度目かの再読。何にもない生活だって(だからこそ?)、ずっとは続かない。切ないなあ~。西原理恵子の中で今のところこれが一番好きです。2015/09/05
たまきら
12
何度読んでも泣けます。子供には環境が大事。でも、切ない決断です。やっぱ本棚に戻そうっと。2015/08/21
小鈴
12
この町にすんでるみんなはしあわせになりたいだけやのに、何があかんのやろう。名作です。2009/05/06