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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
111
福島の原発事故は終息したわけではない。最近も2号機の原子炉格納容器内の放射線量が650シーベルトと報道されて、暗い気持ちになった。即死するレベルの放射線量だ。萩尾望都は、放射能の危険性を擬人化するという離れ業を試みて、成功している。日本で一番深刻な問題を、自らのフィールドで取り上げる誠実さにただ圧倒された。プルトニウムを美貌のブルート夫人として、描いているのだ。すべてが死に絶えた後でも生き続けるプルート夫人の存在は哀しい。原子力エネルギーを廃絶しない限り、その哀しみは人類全体が背負い続けることになる。2017/02/24
mocha
93
原発事故を題材とした6篇。「銀河鉄道の夜」のイメージを引用した「なのはな幻想」が良かった。寓話「プルート夫人」「ウラノス伯爵」「サロメ20xx」はとても断片的な印象。もっともっと言いたいことがあるのに言えない、言ってはいけない、というつくり手の葛藤を見る気がする。読み終えて、もやもやともどかしさが残る。2016/03/22
rico
72
3.11をめぐる作品集。祖母と故郷を失った福島の少女とチェルノブイリの少女の時空を超えた邂逅。除染のために植えられた一面のなのはなやひまわりが哀しい。12年後の今、彼の地は戦火に曝されているという現実が重い。一方彼女たちを苦しめるものは、美しく魅力的な存在として人間を誘惑。でも結末は悲劇へ。賛否あるはず。だけど描かずにいられなかった萩尾さんの想いが刺さる。10万年に1度の事故が3度も起こっているのに。銀河鉄道に託された鎮魂と再生の物語が救い。3.11に再読。あの日起こったことを忘れない。忘れてはいけない。2023/03/04
honoka
54
3.11。あれからまさに5年めの今日、「福島ドライヴ」を加えてのこの新装版を読めたことに感無量。一生尊敬し続けるであろう作家さん。素晴らしい作品をありがとうございます。2016/03/11
かんけー
41
漫画とは本来、時事や時流を批判したり揶揄したり...が本分だった筈で?萩尾望都さんの本作は2011の東日本大震災で被爆したフクシマの実体を時に激しく戯曲ぽくアレンジして描いて見せたり表題作「なのはな」でヤンワリと儚い希望的落とし所を提示したり。ウランとプルトニウムを擬人化し、敢えてリスクを強調的に表現して見せ、問題点をクローズアップしてる。チェルノブイリとフクシマを同時に描く事で、立ち入り禁止区域の危険性をもアピール。じいちゃんとばあちゃんのエピは泣ける(T_T)いじめとか論外であり言語道断だと。2017/05/01