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出版社内容情報
日中戦争の最中、旧満州(現・中国東北部)に存在した最高学府「満州建国大学」。「五族協和」の実践をめざし若者たちが夢見たものとは。彼らが生き抜いた戦後とは。第13回開高健ノンフィクション賞受賞作。
内容説明
旧満州、最高学府、建国大学。「五族協和」を実践すべく、集った若者たち。歴史の闇に消えた大学で、スーパーエリートたちが夢見たものとは。生き抜いた戦後とは―。２０１５年第１３回開高健ノンフィクション賞受賞。
目次
最後の同窓会
新潟
武蔵野
南東京
神戸
大連
長春
ウランバートル
ソウル
台北
中央アジアの上空で
アルマトイ
著者等紹介
三浦英之［ミウラヒデユキ］
１９７４年神奈川県生まれ。京都大学大学院卒。朝日新聞記者。東京社会部、南三陸駐在などを経て現在、アフリカ特派員（ヨハネスブルク支局長）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
223
「満州建国大学」の存在自体に驚いた。各国の優秀な人材が、いかに集められたか、そして、満洲国が崩壊した戦後の生徒たちの人生を、丹念に発掘した労作だ。軍国主義の日本がつくったこの大学に「言論の自由があった」事が、最大の驚きだった。ここから発信した「知」の威力がその後の抗日・朝鮮独立運動へとつながる。「そんな”知”の威力をだれよりもしりぬいているからこそ、国家がどんなに巨大化したとしても”最初の一歩”に赤子のように怯え哀れなくらい全力で阻止する」という指摘に納得。これが現代の中国や北朝鮮・為政者の言論弾圧だ。2020/07/21
kawa
55
戦前、関東軍幹部の肝煎りで日本・中国・朝鮮・台湾・ロシアの超優秀な若者を集め設立の満州建国大学の様子とその後の彼らの軌跡を追うノンフィクション。読み友さんのレビューをきっかけで印象的な本に出合え感謝、このような事実を世に問うた著者にも感謝です。皆さんの波乱万丈、ご苦労な人生に言葉もないが、当時の満州にいた殆どの人々には、語りつくせない（語れない）、しかし記録に残されるべき人生があったのだろう。今がそういう記録を残す最後のチャンスかも知れない。写真で掲載の卒業生の皆さんの歴史を重ねたお顔も印象的な感動作。2019/09/19
ころりんぱ
50
五族協和を掲げ満州国の最高学府として設立された満州建国大学、初めて知った。今でこそグローバル教育なるものが盛んだけれど、戦争真っ只中のあの時代に、日本、中国、朝鮮、台湾、ロシアの5カ国から頭脳明晰の超エリートたちを集めて共同生活の中で自由に議論させ、未来のアジアのリーダーを育てようとするこんなもの凄い大学が確かに存在したこと、卒業生たちの戦後の数奇な人生、読めば読むほど引き込まれ圧倒されました。信念を持って学ぼうとする姿勢も、同窓の絆も、読ませていただいてありがとうございます！という作品でした。2016/09/26
キャプテン
48
★★★★☆＿「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1938年昭和時代─建国大学編】これは、俺とは違う時の旅人の話。日中戦争と満州国。日本人、朝鮮人、中国人、モンゴル人、ロシア人の協和を目指した大学。若きスーパーエリート達の集う大学の同級生たちは、終戦をどう迎えたのか。戦争という重さよりも、本当にそこにその時代、その人達がいたのだという、圧倒的なリアリティに言葉が出ない。今も戦後という時代は続いている。どうかこれからも、戦後のままでありますように。それが先人たちの描いた「後世のために」という希望なのだから。2018/04/20
おかむら
47
五族協和、なんだか嘘くさい満州国のスローガンですが、その理念のもと創られた「建国大学」。そこで学んだ日本中国朝鮮モンゴルロシアの選ばれしエリート青年たちのその後を追ったノンフィクション。それぞれ夢や理想を抱いて集まった若者たち。そして思いもよらない日本敗戦からの人生。どの人の人生も波乱万丈でそれぞれ1冊出来そう。戦後70年、まだ生きててくれて聴き取りできて間に合ったという思いと今もなお政情によって自由にインタビューすら出来ない国もあるし、国際関係の難しさを思う。超面白かった！ページ数もちょうどいい！2016/06/12
