内容説明
たっぷり挫折感を味わわされて、初めて厳しい昇進レースに思いを致すとは、なんと迂闊な話ではないか。いままでが順風満帆であり過ぎて、過信していたからなのか。それとも、仕事にかまけて、うっかり忘れていたということなのか―。そんな莫迦なと広岡は思う。広岡は、寝つきのいいほうだったが、今夜に限って睡魔は襲ってこなかった。同期入社組のライバルたちの顔が眼に浮かぶ。男の一生を決定する一通の辞令。左遷。栄転。失意。希望。不安。思惑。陰謀。背信。ビジネスマンの命運を握る〔辞令〕のカラクリに迫る!書き下ろし長編小説。